おはようございます。
本日5月13日(月曜日)は、死傷者199人を数えた史上最悪のビル火災事故「千日デパート火災(1972年)」から 52年 です。
東日本大震災と福島第一原発事故から 13年 (4813日) たち、
元日の令和6年能登半島地震から 133回目 の朝を迎えました。
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消防庁の発表(4月26日付)によると、
この地震の死者245人(石川県245人)、重傷323人(新潟県5人、富山県3人、石川県315人)、住家被害は、全壊8,528棟(新潟県105棟、富山県242棟、石川県8,181棟)、半壊19,408棟(新潟県2,992棟、富山県730棟、石川県15,674棟、福井県12棟)
の被害が確認されています。
この地震では、石川県を中心に、新潟、富山、福井、長野、岐阜の六県で一時、最大 約12万240戸 が断水しました。
とくに、土砂災害が多発した石川県(全455か所の土砂災害のうち424か所が石川県に集中)では、全体の断水被害の9割以上となる約11万戸 の世帯が断水しました。
その後、復旧作業が進み、金沢市(一時1,000戸が断水)が1月11日、かほく市(9,800戸)が1月15日、穴水町(3,200戸)や志賀町(8,800戸)が3月4日、七尾市(21,200戸)で4月1日、内灘町(12,000戸)で4月18日など徐々に断水も解消されていきました。
しかし、奥能登の一部の地域では、今も断水が続いています。
先週5月8日(水曜日)時点の国土交通省の発表では、地震直後に最大6,200戸が断水していた石川県能登町は、発生から四か月目となる5月2日(木曜日)に町内全域で解消したそうです…、
ただ、いまだ、輪島市(1,170戸)と珠洲市(1,940戸)の両市では合計3,110戸で今も断水が続いているそうです。
食事、トイレ、洗濯、洗いもの…日常生活に欠かせない上下水道ですので、できるだけ早く解消されることを願ってやみません。
竹笋生(たけのこしょうず)
さて、今週5月15日(水曜日)は七十二候(1年を72に分けた暦)の「 竹笋生(たけのこしょうず) 」です。
旬の味覚の“筍(たけのこ)”が地面から顔をだす頃です。
一般的に、筍御飯(たけのこごはん)の食材「孟宗竹(もうそうちく・もうそうだけ)」は、3月〜5月が旬なので、春のイメージもありますが、暦の上では、先週5月5日(立夏)から夏に入りましたから旬の「たけのこ」は “初夏”
の季語となります。
そして、この旬の食材「孟宗竹」は、中国の原産なのだそうで、その由来は、古代中国の三国時代の呉の政治家・孟宗(生不詳〜AD271年没)の《
筍が好きな母親のため、冬に竹林に入って孟宗が祈ると筍が生え、母に食べさせることができた 》という親孝行逸話にちなんだもの、だそうです。
そういえば、“たけのこ”には三通りの漢字があります。
「筍」「竹の子」「笋」
は皆“たけのこ”と読めます。
「筍」は、竹の若芽のことで、食べれる状態のタケノコを言うようです。
タケノコの旬は「10日間」しかなく、10日間で食べられなくなるとされていますから、“筍”の漢字が“旬”の字に“竹冠”を載せた字面に構成されているのも妙に納得します。
「竹の子」も、竹の若芽のことを指しますが、こちらは10日経って食べるには余り適さない状態のものを指すようです。
「笋」は、「筍」や「竹の子」と同じように竹の若芽という意味で、余り使わない古い漢字ということです。
若芽が出てからの旬は10日ということですので、…今年は温暖化にエルニーニョと季節はずれの暑さも手伝い、タケノコもすでに竹となっていてこの時期は旬が過ぎている…かもしれませんね。
私は、ちょうど季節外れの暑さが話題となった4月中旬に、自宅の近くの竹林で、タケノコ狩り(地元里山保存会の行事)をし、竹の子御飯を食べました。
なお、竹の子御飯等々は、端午の節句(5月5日)に、成長の早い竹にあやかって、子どもの成長を願い食べる風習があります。
竹は、筍を発生させ増えていき、その筍は三か月ほどで生長を終えて竹となり、その一個体は10年程度で枯れるそうですが、竹を植える時期について松尾芭蕉は
《 降らずとも 竹植うる日は 蓑(みの)と笠(かさ) 》
と詠んでおり、竹を植えるには太陽の照るような暑い日ではなく、雨が降らずとも、雨が降りそうな日を選べば良いと、昔から言われているようです。
五月晴れ(さつきばれ)
暑い日が続く5月の晴天を「五月晴れ」などと呼んだりします。
正確には、この五月晴れの五月(さつき)は旧暦(陰暦)の呼称なので、旧暦の5月は、今の新暦では6月頃となることから、五月晴れとは「梅雨の晴れ間」のことを指すようです。
そのため、五月晴れというのは間違いであるといった議論もあるようですが、NHKのテレビ放送に対する視聴者からのクレームや疑問に答えているNHK放送文化研究所の見解によると、
“もともとは「梅雨の晴れ間」のことですが、今では「5月のすがすがしい晴れ」を指すことばとしても使われています。”
ということだそうです。
私は、今の晴天こそ「五月晴れ」と思います。
5月はぬけるように爽やかな青空が続くと思えば、逆に、雨の日が続くこともあります。
例年、5月後半に雲が多くなってきて、ぐずついた天気になりやすいそうで、とくに関東地方では、梅雨入り(平年日は近畿で6月6日頃、関東甲信で6月7日頃)前のほうが雨の日が多いなんてこともあるようです。
こういったことから、雨の合間のぬけるような爽やかな晴れ間こそ「五月晴れ」に似合っている気がしているのですね。
とくに昨今では、温暖化でカラッとした夏日(25℃)、場合により真夏日(30℃)まで各地で観測されていますので、ときおり吹く風の心地よさとともに、これは汗ばむくらいの五月晴れだな、と感じる今日この頃です。
…さて、雨といえば水、毎年5月15日から5月21日の一週間は「総合治水推進週間」です。
大雨による洪水などを減らすため、山林や田畑を適正に保全していくことや、河川や下水道などを整備していくことなどの対策を「総合治水」と呼びますが、この期間は、日本各地で、河川の治水に関する啓発行事が行われます。
「総合治水対策」とは、従来の河道やダム、遊水地整備といった河川改修だけで洪水を防ぐのではなく、雨水貯留浸透施設の設置など流域の対策を行うことで、急速な都市化で失われた流域の雨水浸透能力の回復と「河川に雨水をゆっくり流す」ことにより、総合的に治水しようという試みです。
各地で行われている、浸水から町を守る「総合治水対策」の取り組みに注目してみましょう。
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◆執筆者
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらい ひろや)
防災士(日本防災士機構登録No.040075)、日本人間工学会会員。
1970(昭和45)年、東京都世田谷区生まれ。神奈川県横浜市在住。日本大学大学院で安全工学・人間工学を専攻。大学院修了後、大手ゲーム製造メーカーに入社、企画開発、PL(製造物責任法)担当や品質管理(ISO9000)に携わる。2001(平成13)年、災害用長期備蓄食〈サバイバル®フーズ〉の輸入卸元、株式会社セイエンタプライズ取締役に就任。阪神淡路大震災で家族が神戸で罹災、日常の防災意識や危機管理の啓蒙普及を企図した無料メールマガジン『週刊防災格言』を07年よりスタート。毎週月曜日に防災格言を発信し続け2万人の読者を得ている。
【書籍】天災人災格言集―災害はあなたにもやってくる! ¥1,650(税込)