おはようございます。
東日本大震災と福島第一原発事故から 13年 (4820日) です。
元日の令和6年能登半島地震から 140回目 の朝を迎えました。
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本日、5月20日(月曜日)は、歴の上で
二十四節気の「 小満(しょうまん) 」
を迎えました。
小満とは、草木が繁って生気が天地に満ち溢れるという意味で「小満」なのだそうですが…、
俗説として、まいた麦などのタネに穂が緑黄色に付きはじめる頃なので、農作物の収穫にめどがつき「ほっと少し満足する」ことから小満というというのだと言います。
何も農業だけではなく、雪国でも、この5月は、冷たく重い雪解け水が海に流れだす頃となるため、その結果、海洋の上層と下層の海水がかき混ぜられ、下層にたまった栄養豊富な水が上層へあがってくることで、プランクトンが繁殖し、そのプランクトンを目当てに魚の大群が産卵で集まってくるといいます。
野も山も緑一色で、そして、海や川さえも力強い若さがみなぎる頃が小満の頃となります。
長野県佐久市臼田町には、この地方の農業神を祀る稲荷神社で、二十四節季の小満の日に「小満祭(こまんさい)」と呼ばれる五穀豊饒、商売繁昌(明治後半に蚕業が盛んとなり豊蚕豊作を祈願した)を祈願する大きな祭りが伝統的に行われています。
小満の祭りなので、植木市や盆栽市が呼びものなのだそうです。
恐らく、農民らの豊作祈願から誕生した祭でしょうが、いつ頃からどういう由来で始まったのか気になるところです。
さて、
初夏の小満の頃からは天気も、陽気が高まって、だんだんと気温も高くなってきます。
コロナ禍後の今でも、毎週1万人程度の新規感染者がでているくらいの流行度ですから、マスク着用中の人もまだ多いかと思います。
気温が高まると、マスク着用中は、体の熱が放出されにくく、体内の温度が上昇して、気づかないうちに脱水症状を起こし、熱中症になる危険性が高まることが分っています。
この時期の熱中症による死亡事例も毎年報告されていますので、これから夏にかけての時期は、いつも以上に、体の異変に気を付けて、ペットボトルのお茶などといった水分を持ち歩き、こまめに水分補給をするようにしましょう!
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…さて、先月(2024年4月17日)のことです。
インドネシアの離島「ルアング火山(標高725m)」が4月17日と4月30日に噴火しました。
噴火は縮小しましたが、火山活動は今も継続中です。
4月17日の噴火では噴煙が高度1万9000メートルに達し、気象庁で「遠地地震に関する情報」が発表(日本への津波の影響はない)されました。
地球上には約1500の活火山があります。
インドネシアには世界の火山の9%(130山以上)の活火山が集中しており、日本(日本の活火山数は111(7%))と同じく地震と火山噴火の国となります。
噴火したルアング火山は、北スラウェシ州サンギヘ諸島最南端にある離島で、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境目のあたりに位置しています。
さいわい現地住民843人全員が近隣の島に避難することで死者はでませんでしたが、少なくとも501戸の家屋が被害を受け、噴火による視界不良などの影響から空港は閉鎖を余儀なくされたそうです。
ルアング火山は、記録に残る1808年以降で、少なくとも16回の噴火が確認できる活発な火山の一つだそうで、1871年の大噴火では海面近くの火山噴火で大津波が発生して400人が亡くなったと言われています。
そんなインドネシアの火山群では、人類史を代表する大噴火が、たびたび発生しています。
とくに有名なのが、有史以来の最大規模の火山噴火災害として知られる「タンボラ火山大噴火」(1815年4月10日 VEIレベル7)です。
このとき、大噴火で推定7万人から12万人が亡くなり、噴火の後には、大量の火山灰や硫黄など火山噴出物が世界を覆ってしまい、地球全体の気温が数度低下し、世界中で飢饉や疫病が蔓延したといわれています。
1816年にはヨーロッパ、アメリカ、カナダで異常な冷夏となり農作物が壊滅する「the Year Without a Summer(夏のない年)」が発生しました。
このように火山の大噴火は、世界中の気候を変え、飢餓を起こし、それにより戦争や紛争にまで発展したりと、私たち人類の歴史に多大な影響を及ぼしてきたことが分ってきました。
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そして、141年前の今日(5月20日)、
インドネシアのクラカタウ火山の噴火活動がはじまり、その後、破局的な大規模噴火をすることになります。
クラカタウ火山大噴火(1883年5月20日〜10月21日)では、少なくとも36,417人が亡くなったと推定されています。
レベル8まである「火山爆発指数(VEI)」で レベル6 という大噴火とされ(富士山宝永噴火(1707年)がレベル5)、地質学史上でも5番目に大きな噴火なのだそうです。
死者数では2004年のスマトラ沖地震(インド洋大津波)までは世界最大の津波被害とされていた災害でした。
当時のクラカタウ島は無人島で、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間にあるスンダ海峡に位置します。
植民地時代ですから、多くは、当時の外国船や外国人による記録として残っています。
5月20日に水蒸気爆発を伴う比較的穏やかな噴火(ストロンボリ式噴火)がはじまり、噴煙は1万1千メートルに達しました。
その後爆発は次第に弱まったそうですが、6月中旬に再度爆発が起こり、8月26日午後1時に地震の雷鳴がとどろき、翌8月27日10時に大爆発(プリニー式噴火)したといいます。
噴煙は3万8千メートルに達し、大火砕流が海上を40キロメートルも流れました。
また、海面近くで噴火したため波高30メートルの大津波が発生し、大火砕流と大津波が、近隣の島々を次々に襲っていきました。
スンダ海峡のいくつかの島々は完全に水没し、津波はイギリスの英仏海峡や、日本の鹿児島でも観測されました。
この津波で、スンダ海峡にあったセベシ島(全住民3,000人)とセラミ島の住民が全滅。スマトラ島やジャワ島は地形が変わるほどの状態となって近隣165の村々が壊滅的な被害を受けました。
ジャワ島北西端にあるメラク港という町では、生存者2人を除きほとんどの全ての住民2,700人が溺死したそうで、また、標高35メートルほどの高台に避難していたヨーロッパ人全13人も津波に流されて亡くなっています。
死者の90%近くが津波による溺死、約10%は火砕流による焼死・窒息死や火山噴出物の落下(火山岩や熱い灰の雨)によるものと考えらえているそうです。
そして、この時の爆発の衝撃波は、約150km離れたジャワ島バイデンゾルグに届き、その衝撃波で、ハイデンゾルグの家々の窓やドアが吹き飛んだといいます。
噴火の爆発音は2,000km離れたマニラやオーストラリア、マダガスカル島でも聞こえ、3,200km離れたパプアニューギニアや4,776kmも離れたロドリゲス島までも響いたと記録が残ります。
ちなみに、この「4,776km」は、人類史上で最も遠くまで自然音が届いた最長到達記録として、今も破られていないといいます。
噴火により、クラカタウ島の3分の2の陸地が消失し、島の大部分は海となり現代に至ります。
そして、このときも、噴火で舞い上がった火山灰やらは地球を覆い世界の気候を変え、世界各地で「火山の冬」を引き起こしたようです。
世界史をみると、1873年から数年間に、各国で飢饉が頻発しているようにも思えます。
ギリシャやトルコのアナトリア半島飢饉(1873年)や、英国領インドのベンガル飢饉(1873年〜1874年)、インド大飢饉(1876年)、1000万人が亡くなったと言われる中国北部大飢饉(1876年)やブラジル、北アフリカの飢饉などでしょうか…。
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…そして、火山噴火は、ときに偉大な芸術にも大きな影響を残します。
ムンクの「叫び」(1893年)
クラカタウ火山大噴火は、世界中の空を暗くし、ヨーロッパでは数ヶ月のあいだ壮大な赤い夕日という景色を生み出したのだそうです。
イギリスの風景画家ウィリアム・アスクロフト(1832〜1914)は、当時、チェルシーに沈む不思議な赤い夕日を、何千枚ものスケッチに残したそうです。
また、
ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンク(1863〜1944)の代表作の『 叫び 』は、1893年に制作された超有名な作品ですが、その絵には、異様な赤い夕焼け空のなか、頭を抱え叫ぶ人が描かれています。
この血のように赤い異様な夕焼け模様には諸説あるようですが、アメリカの天体物理学者であるドナルド・W・オルソン先生(テキサス州立大学物理学科名誉教授)は、1883年に起きたクラカタウ火山の大噴火による世界的な気候変動で引き起こされたノルウェーの夕陽をムンクは描いたのではないか?
…とする画期的な説を2004年(2003年12月)に発表しました。
※PRESS RELEASES > ASTRONOMICAL SLEUTHS LINK KRAKATOA TO EDVARD MUNCH’S PAINTING THE SCREAM, December 9,
2003.
⇒https://skyandtelescope.org/press-releases/astronomical-sleuths-link-krakatoa-to-edvard-munchs-painting-the-scream/
オルソン先生は、天文データを用いて人類史をひもとき、芸術・文学に影響を与えた自然現象を調査するという、たいへんユニークな研究者で知られています。
過去にはジェフリー・チョーサーの「カンタベリー物語」やフェルメール、モネなどの絵画・文学作品に影響を与えた天文現象の論文でも有名です。
そんな先生についたあだ名は、ズバリ“天体探偵”です(笑)。
面白い切り口で、他の論文も大いに気になりますね。
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《 執筆者 》
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらいひろや)
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