おはようございます。
東日本大震災と福島第一原発事故から 13年 (4883日) です。
元日の令和6年能登半島地震から 半年(203日)が経ちました。
…先週から「梅雨明け」が続いています。
九州南部(7月17日)、東海・関東甲信(18日)、四国(19日)、の梅雨明けに続き、昨日(7月21日)「中国地方と近畿地方が梅雨明けしたとみられる」と気象庁が発表しました。
これからますます暑くなってきます。
今年は、地球が“史上もっとも暑かった”とされる昨年に匹敵する猛暑になるとの見方もあります。
これからも連日のように猛暑と熱帯夜が続いてまいりますので、夜の熱中症にも十分な警戒が必要そうです。
明後日7月24日(水曜日)は「 土用の丑の日 」ですので、今年は、ぜひ夏バテ防止に“うなぎ”を食べて「暑気払い」といきたいものですね。
大暑(たいしょ)
本日(7月22日)は、暑気が極みに達し、これから厳しい暑さとなる、という意味の二十四節気「 大暑(たいしょ)」です。
実際の暑さのピークは、もう少し後頃となりますが、この大暑の頃は、いわゆる「ゲリラ豪雨」と呼ばれる突発的な大雨・雷雨も多くなってきます。
天気予報などの情報に留意し、雨の予兆や予報といった危険がある場合は、不要の外出を控えるのはもちろん、ハザードマップで土砂災害の危険な地形にお住まいの方は、早め早めの避難行動(安全な場所への移動)を心がけましょう。
今から4年前の2020年7月末のこの時期、集中豪雨により山形県の最上川が五ヶ所で氾濫しました。住宅約700棟が浸水する被害となりましたが、行政と住民の素早い避難行動が奏功して、死者がでませんでした。
… … … … … …
…大暑といえば、ちょっと陰鬱な話題で恐縮ですが…
芥川龍之介が亡くなる前日が「大暑(たいしょ)」でした。
気象学者の大野義輝・平塚和夫著「お天気歳時記」(初版1964年)によると、文豪の芥川龍之介が自殺した前の日(1927年7月23日)は「大暑(たいしょ)」で、この日の不快指数は「86」だったといいます。
つまり、1927年7月23日の東京の日中の最高気温は35.6℃、湿度52%と、ほとんどの人が蒸し暑さのため不快感を感じる天気だったのでした。
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…ここで少し解説(余談)になりますが、
不快指数(DI=Discomfort Index)とは?
不快指数(DI=Discomfort Index)は、夏の蒸し暑さを数値で表したもので、気温と湿度から算出され、私たちが感じる不快感の度合いを示します。
1959年6月にアメリカ気象局で採用された指数で、新しがり屋の日本のマスコミが輸入したのが最初で、日本では1961年(昭和36年)から夏の気象情報に利用されたそうです。
当初、アメリカでは不快指数が「85以上」の日は仕事しなくてもよい…なんて情報とともに不快指数がマスコミで解説されたのですが、恐らくこれが、やたらと日本人のあいだに受けたように思います。
計算式は以下の通りです。
*不快指数=0.81×温度+0.01×湿度×(0.99×温度-14.3)+46.3
不快指数が70を超えると一部の人が不快に感じ始め、75を超えると半数以上の人が不快に感じ、80を超えるとほとんどの人が不快に感じるとされます。
日本人のなかでは、不快指数75で9%の人が、77で65%の人が不快に感じ、85で93%の人が蒸し暑さのため不快感を感じるとされています。
でも、ここには風速などの涼しさの指標が入っていないので、不快指数だけでは必ずしも体感と一致しないことから、実は、気象庁では不快指数の統計が取られていません。
一応の指標では、例えば、気温が27℃でも、湿度が55%あると、不快指数は75となり、多くの人が不快に感じ始めるレベルということになります。
…話を戻し…
調べると、芥川龍之介が田端の自室で服毒自殺したのは1927年(昭和2年)7月24日の早朝です。
翌7月24日は小雨(時間雨量1mm程度)が降り、東京の最高気温は26.8℃でしたが、芥川が布団の中で苦悶している姿を夫人が気づいた朝6時頃は、雨がまだ降り始めていなかったようです。
たぶん、蒸暑く寝苦しい夜だったのではないかと想像します。
なるほど、前日の不快指数が高いなかで「ぼんやりした不安」が大きくなったのかもしれません。
ご参考までに、全国的に晴天となった昨日(7月22日・日曜日)の不快指数がちょうど芥川龍之介が亡くなった前日の不快指数「86」と同じくらいの天候でした。
昨日の全国の不快指数は
東京が「86」(最高気温34.6℃、湿度52%)
新潟が「86」(最高気温34.1℃、湿度50%)
仙台「85」(最高気温32.6℃、湿度56%)
名古屋「89」(最高気温37.0℃、湿度43%)
大阪「88」(最高気温36.3℃、湿度46%)
広島「87」(最高気温35.0℃、湿度49%)
高知「87」(最高気温33.8℃、湿度63%)
福岡「87」(最高気温33.8℃、湿度60%)
鹿児島「87」(最高気温35.4℃、湿度60%)
那覇「89」(最高気温35.4℃、湿度50%)
でした。
芥川龍之介も、昨日のような“息苦しいほどのムシ暑さ”を体感していたのかもしれません。
… … … … … …
ここで、興味深い最新研究があります。
暑さと自殺率の関係
地球温暖化に伴って自殺率が上昇する可能性がわかってきました。
2018年7月、アメリカのスタンフォード大学の経済学者マーシャル・バーク准教授(Marshall
Burke)らの研究グループは、過去数100年間にわたって、季節と自殺率の関係を調査した結果「年間を通じ、暖かい月のほうが自殺率が高い」という傾向をみつけ、気温上昇と自殺者の増加のあいだに強い相関関係があることを発見しました。
この論文が端緒となり、以降、猛暑が人の精神や心理(メンタルヘルス)に与える影響が議論されるようになってきました。
もともと、自然災害(ハリケーンなど)の後に被災地を中心に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病などが増加することは良く知られていましたが、今は、そこに地球温暖化とメンタルヘルスの関係が世界的問題となってきています。
まだ、蒸し暑さなどと、人の生物学的な精神・心理面への影響は研究途上だと思いますが、蒸し暑く、寝苦しいこの季節は、どこか意識は朦朧(もうろう)としますし、陰鬱(いんうつ)な気分にもなりがちな気がします。
まさに、芥川龍之介の言う「ぼんやりとした不安」です。
気を付けたいですね。
《関連リンク》
- 論文 > Stanford researchers find warming temperatures could increase suicide rates across the U.S. and
Mexico
https://news.stanford.edu/stories/2018/07/warming-temperatures-linked-increased-suicide-rates - The New York Times > 地球温暖化で「自殺と殺人が増加している」背景
https://toyokeizai.net/articles/-/694520 - 芥川龍之介の防災格言(2編)
https://shisokuyubi.com/bousai-kakugen/index-42
https://shisokuyubi.com/bousai-kakugen/index-633
◆執筆者
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらい ひろや)
防災士(日本防災士機構登録No.040075)、日本人間工学会会員。
1970(昭和45)年、東京都世田谷区生まれ。神奈川県横浜市在住。日本大学大学院で安全工学・人間工学を専攻。大学院修了後、大手ゲーム製造メーカーに入社、企画開発、PL(製造物責任法)担当や品質管理(ISO9000)に携わる。2001(平成13)年、災害用長期備蓄食〈サバイバル®フーズ〉の輸入卸元、株式会社セイエンタプライズ取締役に就任。阪神淡路大震災で家族が神戸で罹災、日常の防災意識や危機管理の啓蒙普及を企図した無料メールマガジン『週刊防災格言』を07年よりスタート。毎週月曜日に防災格言を発信し続け2万人の読者を得ている。
【書籍】天災人災格言集―災害はあなたにもやってくる! ¥1,650(税込)
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