おはようございます。
東日本大震災(2011年3月11日)から 4,666日が経過しました。
本日(12月18日)は、新潟県中越地震(2004年 死者68人)の震源域で起こった過去の地震、1828(文政11)年の「 越後三条地震(M6.9 死者1,443人)」から 195年 です。
2022年12月16日に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用がスタートしてから 1年 です。
注意情報は“もしも”のための命を守るシステムです
北海道から岩手県の沖合にある「千島海溝」と「日本海溝」では、マグニチュード7クラスの大きな地震(先発地震)が発生した後に、さらに大きな、マグニチュード8~9クラスの大規模地震(後発地震)が発生してきた歴史があり、次も発生する可能性が、いま心配されています。
これらは、例えば、東日本大震災(2011年)、明治三陸地震(1896年)、貞観地震(869年)などの巨大津波を伴う超巨大地震として知られています。
実際に後発地震が発生する確率は、100回に1回程度と言われていますが、もし発生したら、北海道から千葉県にかけての広い範囲で、甚大な被害が起こるかもしれません。
現在の国で想定では、日本海溝沿いの巨大地震で最大約19万9千人、千島海溝沿いの巨大地震で最大約10万人が亡くなるとされています。
もし発生したとしても、早期避難や対策ができたのなら、この被害は、死者を8割まで大きく減らすことができると試算されています。
…そうしたことから、
日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域とその周辺でマグニチュード7以上の地震が発生した場合に、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発信され、次の後発地震の発生の可能性が普段よりも相対的に高まっているとして、注意を促すことになったのです。
“空振り”を恐れて、警報出せずにはしない
昔だと、予報が外れた場合の“空振り”による混乱を恐れて、こうした注意情報(予知情報)は、政府や自治体や専門家は、なかなかGoサインを出すことができなかったように思います。
つまり、政府が重い腰をあげた、政府主導の、誘発されるかもしれない次の巨大地震の発生に注意を呼び掛ける安全システムということですね。
対象地域は、3メートル以上の津波や、震度6弱以上の強い揺れなどが想定される地域、北海道から関東まで7道県182の市町村です。
注意情報が発信された場合は、これら地域では、1週間程度は日常の生活を維持しつつ、揺れを感じたら直ちに避難できるよう備えておくことなどが求められます。
ずいぶんと思い切った政府の決断だと思いますが、きっと、今後の首都圏や京阪神へのテストケース的な側面もあったのでしょうね。
あとは、きちんとシステムが稼働し続けることが大切です。
命を守る「100回に1回」への備え
確率的に100回に1回ということなので、情報発信された後に、後発地震が起こらないことの方が多いかもしれません。
でも、大切なのは「99回の素振り」と政府は主張します。
後発地震が発生しなかったとしても、「空振り」と捉えるのではなく、防災訓練や防災意識の向上につながる「素振り(良い訓練になった!)」と捉えるよう求めています。
また、先発地震を伴わずに巨大地震が発生するケースもあります。そのため、突発的に地震が発生した場合を想定し、日頃から地震への備え(事前防災対策)を徹底しましょう。
その上で、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発信時には地震への備えを再確認するようにしましょう。
※内閣府「北海道・三陸沖後発地震注意情報の解説ページ」
https://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/hokkaido/index.html
――さて、
無理やり感もありますが、素振り と言えば 野球 です。
LAドジャースの入団会見で、大谷翔平さんの愛犬が「デコピン」と知ってずっこけました。
なんとも凄いネーミングセンスに、嫁さんと一緒になって声を出して微笑んだ瞬間です。
デコピンを知らない日本人はほとんどいないと思いますが、念のため解説すると、おでこを指ではじく、という悪戯です。
単純な遊びなので、どこの世界にも似たようなものがありそうなものの、諸外国ではデコピンを翻訳できない、とSNSで話題にもなっていたそうです。…本当でしょうかね?
歴史を調べると、今回見たもっとも古い記述では、敗戦後の1948年の法律時報(調査、罪を犯した子供たち)にデコピンという記述がでてきました。少年鑑別所内の遊びなのかもしれません。
1961年の都内の小学生たちの遊びの調査では、花札やトランプ、メンコなどのゲームで負けた際の罰ゲームとして登場しています。
「敗戦後の遊び」と書いてあるので、終戦直後の日本の子どもたちの間で、自然発生した遊びなのだろうな、と私は想像しました。
もしそうなら、80年近く歴史がある遊び文化ということになります。
私も小学生の時分(1970年代)よくやってたなー、と懐かしく思いつつ、敗戦直後の混乱期に、その場で簡単にできそうなシンプルなコミュニケーション(遊び)をクリエイトしてきた日本の子どもたちに脱帽です。
災害直後の息抜きに、こういった創造性は、とても大切だなと思います。
…さて、ロサンゼルス(LA)とメジャーリーグ(MLB)と言えば、
ロマ・プリータ地震(1989年10月17日)
が私にとって強烈な思い出となっています。
LAと同じカリフォルニア州の大都市サンフランシスコで、メジャーリーグの頂上決戦(ワールドシリーズ)の試合の最中に、突如マグニチュード7.1の大地震が発生したのでした。
オークランド・アスレチックス対サンフランシスコ・ジャイアンツのワールドシリーズ第3戦。ジャイアンツの本拠地キャンドルスティック・パーク球場での試合中の出来事です。
地震発生は全米と日本に生中継されました。
当時、私は、NHKのBS放送「MLB中継」が大好きな番組でした。
とくに、スター選手のリッキー・ヘンダーソンやマグワイアやカンセコを擁するアスレチックスの大ファンだったのです。
また、対戦相手ジャイアンツのウィル・クラークやマット・ウイリアムスも大好きな選手でしたから、その対戦はぜひ見たいと思うものです。
試合はたぶん生中継(日本時間は朝10時くらい)で見ていたと思います。
実際には、突然、停電で中継が切れて砂の嵐、当初は何が起こったか分かりませんでした。
しばらくして、中継が戻り、騒然とする球場の様子(スタジアムからコンクリート片が落下し停電するなどありましたが、球場に大きな被害はありませんでした)やサンフランシスコの街の被害などが映し出されて、それが大きな地震災害だと知りました。
オークランドの高速道路が横倒しになり、サンフランシスコのマリーナ地区では液状化で大きな被害が発生したそうで、死者63人、重軽傷者3,208人、ビルの損壊といった被害も目立ちました。
そして、その後、10日間にわたってシリーズが中断することになりました。
たぶんMLB史上初のあり得ないような出来事だったことでしょう。
…それから5年後、カリフォルニア州ロサンゼルスでは、
ノースリッジ地震(1994年1月17日 死者57名、重軽傷者8,700人)
も発生しています。
このときも高速道路が横倒しになる大被害となりました。
カリフォルニア州を襲った二度の地震被害に日本では、
『 日本の建築技術では、アメリカのように、地震で高速道路が横倒しになるようなことは“あり得ない”』
などと連日のように、日本は大丈夫、といった論調の報道がされていたように思います。
しかし、偶然にも、それから、ちょうど一年後の同じ日、
1995年1月17日、阪神・淡路大震災
が神戸を襲い、東灘区の阪神高速道路(3号神戸線)が635メートルにわたって横倒しになり、商業ビルはパンケーキの様に層崩壊してぺしゃんこに潰れました。
日本の安全神話を揺るがす事態と、連日マスコミは報道しました。
この阪神・淡路大震災のあった1995年は、オーム真理教の地下鉄サリン・テロ事件もおこった年でした。
阪神・淡路大震災は現代の大都市を襲った史上初の直下型地震で、地下鉄サリン事件は、人類史上初の化学テロ事件です。
“あり得ない”ようなことが起るのが災害である―――、
と私たちが改めて知る出来事となったのでした。
さて、30年来のMLBの一ファンとしては、
野茂選手の登場以来、イチロー選手のMVP(最優秀選手賞)受賞や大記録に驚愕し、大谷選手のベーブルース超えや1000億円契約という
『 昔、信じられないと思った日本人選手の大活躍 』
に、多くの皆さんと同じように、どこか誇らしく、嬉しく、楽しく、感動を、享受してもいます。
そこに有る事が難しい現象を「有難い」と形容するそうですが、もう、神仏に祈るがごとく、ありがたや(この時代に生まれて感謝)という気持ちなのですね。
来年も(日本人選手が大活躍する)良い年でありますように!
《関連記事》
- ・コラム「安全(安全神話)を考える」|思則有備(しそくゆうび)
- ・コラム「地下鉄サリン事件から20年」|思則有備(しそくゆうび)
- ・コラム「阪神淡路震災より18年」|思則有備(しそくゆうび)
- ・1年前(2022年12月)の防災ニュース一覧より|思則有備(しそくゆうび)
- ・地震予知連・萩原尊禮(1908~1999)と判定会就任会見(1977年)|思則有備(しそくゆうび)
- ・開高健(1930~1989)の「空振り、大いに結構」|思則有備(しそくゆうび)
- ・米連邦緊急事態管理庁(FEMA)長官ジェームズ・ウィットの防災格言|思則有備(しそくゆうび)
- ・初代気象庁長官・和達清夫(1902~1995)とノースリッジ地震|思則有備(しそくゆうび)
- ・イチロー選手と阪神淡路大震災|思則有備(しそくゆうび)
◆執筆者
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらい ひろや)
防災士(日本防災士機構登録No.040075)、日本人間工学会会員。
1970(昭和45)年、東京都世田谷区生まれ。神奈川県横浜市在住。日本大学大学院で安全工学・人間工学を専攻。大学院修了後、大手ゲーム製造メーカーに入社、企画開発、PL(製造物責任法)担当や品質管理(ISO9000)に携わる。2001(平成13)年、災害用長期備蓄食〈サバイバル®フーズ〉の輸入卸元、株式会社セイエンタプライズ取締役に就任。阪神淡路大震災で家族が神戸で罹災、日常の防災意識や危機管理の啓蒙普及を企図した無料メールマガジン『週刊防災格言』を07年よりスタート。毎週月曜日に防災格言を発信し続け2万人の読者を得ている。
【書籍】天災人災格言集―災害はあなたにもやってくる! ¥1,650(税込)