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【被害想定】首都東京で直下型の大地震が発生したら
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首都東京が位置する南関東で、今後30年以内にM7クラスの地震が発生する確率は70%とされています。
政治・経済の機能が集中する東京を大地震が直撃すれば、甚大な被害が生じることが予想されます。
国や東京都は防災対策のために首都直下地震の被害想定を繰り返し行ってきました。
2013年には、 政府の中央防災会議の検討会による最新の被害想定が発表されました。
これは、東日本大震災の被害状況などを踏まえておよそ8年ぶりに見直しが行われたものです。
多くの項目について被害想定がなされていますが、その中から私たちの生命や生活に直接的に関わる内容をいくつかご紹介します。
一都三県の広い範囲で震度6~7の揺れ
都心南部の直下で、阪神・淡路大震災と同程度(M7.3)の地震が発生した場合、東京湾の沿岸部を中心に、東京、神奈川、埼玉、千葉の 一都三県の広い範囲で震度6弱以上の揺れとなります。
東京湾岸の一部では、震度6強から震度7の強い揺れが生じると予想されています。
最も被害が大きくなると考えられているのは冬の夕方、風が強い状況で地震が発生した場合です。
震度6強以上の強い揺れの地域では、老朽化していたり耐震性能が低かったりする木造住宅が多数倒壊し、下敷きになって亡くなる人が多数発生すると考えられます。
揺れによって全壊する家屋は約175,000棟、最大で約11,000人が家屋倒壊によって死亡するとされています。
想定される死者の7割は火災によるもの
地震発生直後から、 各所で同時多発的に火災が発生することが考えられます。
地震に伴う断水や消防車両のアクセス困難などのため、環状6号線から8号線の間をはじめとした木造住宅密集地域などでは 大規模な延焼火災となることが予想されています。
複数の地点で同時に出火することによって四方を火の手に囲まれたり、 「火災旋風*」が発生したりすることにより、逃げ惑いなどが生じ、多くの人的被害が出るおそれがあります。
火災による死者は最大で約16,000人となるとされています。
これは震災により想定される死者の約7割となっています。
*火災旋風
都市部での大規模な火災などによって局地的に上昇気流が生じ、炎を伴う旋風が発生し、移動することで大きな被害を
もたらす現象。
帰宅困難者はおよそ800万人に
火力発電所の運転停止などにより、 電力供給は5割程度になり、この状態が1週間以上継続する可能性もあります。
都区部の一般道では、被災や液状化による沈下、倒壊建物のがれきなどによって 通行できない区間が大量に発生します。
鉄道も多くが運行停止となることが考えられ、地震が昼間に発生した場合、 膨大な数の帰宅困難者が発生します。
その数は800万人と予想されています。
これらの被害想定は、あくまでも「ある条件の場合に、どの程度の被害が見込まれるか」といったものです。
実際に次の大規模地震が東京で発生した場合に想定されたとおりの被害状況となるかはわかりませんが、こうした被害が予想されることを知っておくことで、自分や家族を守るためにどのような対策が取れるかを考える目安になると言えるでしょう。