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富士山が噴火した場合の被害予想


1991年に43名の犠牲者を出した雲仙・普賢岳の噴火を上回り、戦後最悪の被害となりました。
明白な前兆がないまま噴火に至った御嶽山のケースを受けて、専門家からは 「富士山でもいつ同様の噴火が起きてもおかしくない」という声が上がっています。
実際に富士山で噴火が起きた場合、どのようなことが起きるのでしょうか。
過去の富士山噴火には2つのタイプが

富士山の噴火は10数回記録されていますが、そのうち平安時代の「延暦の噴火」と「貞観の噴火」、江戸時代の「宝永の噴火」が三大噴火として知られています。
有史以来最大規模と言われる貞観の噴火では、膨大な量のマグマが噴出しました。摂氏1000度を超える溶岩が数ヵ月にわたり流れ続け、山野を焼き払ったとされています。
最も最近の噴火である1707年の宝永の噴火では、大量の火山灰が江戸の町に振り、10センチ積もったと言われています。
このように、火山の噴火には マグマ流出と降灰の2つのタイプがあり、次の噴火がどちらのタイプになるかはわかりません。
溶岩流により東西分断の可能性も

貞観の噴火の規模の溶岩流が発生した場合、富士山の南にある東名高速道路や、東海道新幹線も飲み込まれる可能性が
考えられます。
数ヵ月にわたって日本が東西に分断されれば、 経済活動に大打撃が出ることが避けられません。
火山灰による大規模な被害

さらに大規模な被害をもたらすのは、火山灰です。宝永の噴火のように大量の火山灰と軽石が噴出する噴火の場合、 火山灰は遠方まで広がり、広大な範囲で被害をもたらします。
内閣府が作成したハザードマップによれば、静岡、山梨、神奈川の山麓などでは50センチ以上、東京や横浜の一部で10センチ以上の火山灰が堆積すると予想されています。
埼玉や千葉、茨城の一部でも2センチ以上の堆積の可能性があるとされています。
火山灰による被害としては、以下のようなことが考えられます。
・大停電の発生
東京湾周辺には火力発電所がありますが、火山灰によりタービンが故障して止まってしまう可能性があります。また、発電所が止まらなくても、水分を含んだ火山灰が送電線に降灰することによって漏電したり、火山灰の重みで送電線が切れてしまったりといった理由による停電の発生が考えられます。
※ただし、2014年06月24日の経済産業省の有識者会議が公表した資料によれば、発電設備に火山灰が積もった場合でも取り除く体制ができており、大きな影響は出ないと結論づけられています。
火砕流で一部の送電線が壊れても別のルートに切り替えて送電が可能だといいます。
(参考)
経済産業省>経済産業省業務継続計画~首都直下地震への対応を中心として~(2012.6.29)
https://www.meti.go.jp/press/2012/06/20120629004/20120629004-3.pdf
・給水の停止
水源地に降り注ぐ火山灰の影響で、水道が給水停止になる可能性があります。・交通機能のマヒ
航空機、電車、自動車ともに、少量の火山灰の堆積で運行不能になります。また、信号機が止まってしまうことも考えられます。
・電子機器の故障
静電気を帯びた電子機器は、火山灰を吸寄せることで故障しやすくなることが考えられます。パソコンや携帯電話などが使用不能になってしまうことが予想されます。
・健康被害
火山灰が目や鼻、気管支、肺などに入ることによって体調を崩す人が1,250万人にものぼると予想されています。富士山が噴火した場合、富士山の近くはもちろん、東京を含め関東にも火山灰の大規模な被害が予想されています。
ハザードマップや被害予想を確認して、防災対策を検討しておくことが大切です。