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地震による建物火災の約6割は「通電火災」「復電火災」
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美しい神戸の街が、未明に起きた巨大地震によって想像もつかないような大惨事に見舞われたときの映像を、今なお記憶に留めていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。
高速道路が傾き、ビルが倒れ、無数の家屋が倒壊して瓦礫と化した街からは、空高く黒煙が吹き上がり、まるで世紀末の光景を見るかのような衝撃は、今なお忘れることができません。
この地震で犠牲になられた方の数は、おおよそ6,400名とされています。
死亡原因別で見ますと、最も多いものは建物の倒壊、家具などの転倒による圧死で、約8割に達するという調査結果が出ています。
そして、残り2割のうちの約半分は焼死とされています。
地震といえば、まず想定されるものに火災がありますが、出火原因で大きなウェイトを占めるものが「通電火災」「復電火災」であることは、意外に知られていません。
阪神淡路大震災で特定された火災原因のうち、約6割は実に通電火災であると見られています。
「通電火災」「復電火災」とはどのようなものか
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、「通電火災」「復電火災」とはどのようなものか簡単にご説明いたします。
まず、強い揺れが発生すると発電所そのものがストップするだけでなく、送電線に破断が生じるなどして通常の送電ができなくなります。
いわゆる停電です。
しかし、揺れが収まると、電気は他のインフラと比べると早く復旧し、送電が再開されることになります。
送電が再開されると、 逃げる際に消し忘れた電気ストーブなどが自動的に作動してしまいます。
それによって引き起こされる二次的な火災を通電火災、または復電火災と呼んでいます。
阪神淡路大震災では、揺れが収まった数日後に火災が発生した事例も確認されています。
神戸では、地震発生後10日間で建物火災が157件発生し、原因が特定された55件のうち、35件が電気が原因の火災でした。
また、東日本大震災では、地震による火災110件のうち、電気が原因となるものが60%以上の71件にのぼったそうです。
対策はブレーカーを落とすこと
突然強い揺れに襲われると誰でも気が動転するものです。
まず逃げることを最優先にするため、手元の電気ストーブでさえスイッチを切る余裕がないことも多いでしょう。
ましてブレーカーを落とすところまでは、なかなか気がまわらないかもしれません。
ただ、 避難における最大の対策は、繰り返しの訓練であるといわれています。
地震で逃げる際、電気ストーブのスイッチを切りブレーカーを落とす行動を、体が覚えるまで繰り返すことでとっさの事態にも対処できるようになります。
二次災害である通電火災から建物を守るためにも、また近隣に迷惑とならないためにも、 避難訓練の際には「ブレーカーを落とす」ということを必ず取り入れ、いざという時に対応できるようにおぼえておきたいところです。