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埋め立て地は危険!? 「液状化」のもたらす被害とは


液状化によって約2万7000戸の住宅が被害を受けたほか、道路の陥没や上下水道管の破損などの被害も複数確認されています。
今回は、 液状化が発生するメカニズムや、東日本大震災時の被害状況などについてお伝えします。
液状化とは?

液状化は、地震によって地盤が泥水のように変わる現象です。
通常、地盤は土や砂、水などが均等に混ざって構成されています。
ところが、大地震によって繰り返し揺れの力が加わることによって、土や砂の粒子の隙間に水があった状態から、 水の中に粒子がバラバラに浮いた状態になってしまう場合があります。
この状態が液状化です。
液状化は、埋め立て地や海岸・川の近くなど 地盤に多くの水分を含む、ゆるい地盤に起こりやすいと言えます。
液状化による住宅の被害

地盤が液状化すると、地耐力の低下や地盤の沈下、噴砂、局部的な陥没などが発生します。
これにより 建物が傾いたり、基礎や壁、柱、はり、屋根などの移動・変形したりといったことが起こります。
住宅が傾くと、ドアや窓の開け閉めに不具合が生じたり、隙間風などの問題が生じたりするだけでなく、 めまいや吐き気などの健康被害が生じることがあります。
例えば、10mの幅の家で、片方が10cm沈下するだけで、そこでの生活は困難になると言われています。
液状化による上下水道の被害

東日本大震災での液状化の被害が特に大きかったのが、千葉県浦安市です。
全世帯の46%にあたる3万3000戸で上水道が断水、下水道は最大時1万2000戸で使用できなくなりました。
液状化による地耐力の低下や地盤の沈下によって、水道管のズレやたるみ、破損などが生じたり、マンホールが突出したりといった上下水道施設の被害が多数発生しました。
また、水道管やマンホール内に土砂が大量に流れ込んで固まることによって、長期間の下水道使用制限につながりました。
液状化予測マップを確認しよう!
東日本大震災では、液状化地域にありながらも、地盤改良などの対策により被害が生じなかった住宅の例も報告されています。
ご自身のお住いの地域の地盤について 対策の必要性などを確認しておくことが大切だと言えるでしょう。
液状化の起こりやすさなどを把握してもらうために、液状化予測マップなどを作成・公開している自治体も多いので、お住いの地域などについて確認しておくことをお勧めします。
▼国土交通省 ハザードマップポータルサイト
https://disapotal.gsi.go.jp/bousaimap/
▼東京都 建物における液状化対策ポータルサイト
https://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/
液状化マップでも分らなかった液状化被害――古地図を調べる
東日本大震災の際に震度5弱の揺れとなった千葉県我孫子市布佐地区の閑静な分譲住宅地では、大規模な液状化被害が発生し238棟の家屋に被害が生じました。
ところが、我孫子市が事前に作成していた「液状化マップ」では、この地域の液状化は警告されていませんでした。
震災後に明治時代の古い地図でこの場所を調べたところ、被害のあった場所は かつて近くを流れる手賀川の水を引いた水田や河跡湖(流路跡)だったことがわかりました。
液状化が発生する条件として、強い地震動のほかに、地層が水を多く含んでいること、ゆるく堆積した砂であることなどが挙げられます。
これらの条件が揃った「液状化が発生する可能性の高い場所」は、地下水位の高い砂地盤で、例えば、埋立地、干拓地、昔の河道を埋めた土地、砂丘や砂州の間の低地などだと言えます。
つまり、その土地の成り立ちや歴史を知ることで、液状化を起こしやすいかどうかを推測することができると言えます。
災害対策では、自分が住む土地の脆弱性、例えば、 液状化しやすい土地なのかしにくい土地なのかといったことをきちんと理解することが重要です。
そのためには、国土地理院などが公開している、古い地図や空中写真(時系列地理情報)や、地形分類情報などを活用して、自分の住んでいる土地の成り立ちを知ることが役立ちます。
液状化マップと併せ、古地図なども確認しておきましょう。
▼国土地理院>国土変遷アーカイブ
https://www.gsi.go.jp/kikaku/kihon-joho-4.html
▼国土地理院 > 地図・空中写真 > 2万5千分1、5万分1地形図、20万分1地勢図図歴
https://www.gsi.go.jp/MAP/HISTORY/5-25-index5-25.html
▼国土地理院 > 土地条件図の閲覧サイト
https://www1.gsi.go.jp/geowww/themap/lcm/
▼国土地理院 > 治水地形分類図の閲覧サイト
https://www1.gsi.go.jp/geowww/themap/lcmfc/index.html