
私たちの知らない世界には、まだ多くの秘密が隠されています。その中でも洞窟は、地球の歴史や自然の神秘を物語る、特別な空間のひとつです。洞窟探検家の縣 智丈(あがた
ともたけ)さんは、その未知なる扉を開くため、長年にわたり探検を続けています。
2024年9月、彼が訪れたのはインドネシアのハルマヘラ島。
ハルマヘラ島は、インドネシア北マルク州に属する島で、豊かな自然と独特の文化を持つ場所です。熱帯雨林が広がり、ダイビングスポットや火山地帯など、自然愛好家を魅了する環境が整っています。
連載コンテンツ「洞窟探検家 縣智丈の探検記」Vol.4では、ハルマヘラ島探検の背景や、現地での貴重な体験についてご紹介します。
なぜハルマヘラ島へ?
“通常、海外で洞窟探検を行う場合は、石灰岩のあるエリアを訪れ、現地の人に洞窟の有無を確認し案内してもらう方法を用いる事が大半です。しかし、これでは自分が求める「発見から始まる探検」とは言えないので、日本にいながら衛星画像、地質図、地形図を駆使して洞窟らしき場所を探し、それが本当に洞窟かどうかを実践する場として、未開が残るインドネシアのハルマヘラ島を選びました。
2024年9月の探検は、通常よりも少し短い9日間の日程で組みました。探検を続けている地下河川洞窟に繋がる可能性のある竪穴をターゲットに、山中に6日間滞在し、内部には下りずに周囲をひたすら探し続ける行程を計画しました。
2017年から始めたこの探検は、信頼できるパートナーと二人で行っていましたが、2024年は洞窟探検歴も長く、インドネシア赴任歴のある方が新たに仲間に加わりました。”
探検のための装備と技術
“地図として主に使用するのはスマートフォンで、「GuruMap」というアプリを活用してこのエリアに対応した地形図を確認しています。加えて、地図のバックアップや緊急時のSOSを発信できるGarmin機器も携帯しています。
海外で作られた洞窟探検専用の装備は、強度を重視するため、重くてかさばるものが多いです。そのため、私は沢登りや登山で使う道具を活用したり、独自にアレンジを加えて工夫しています。
この地下河川洞窟は、先に進むための難易度が極めて高く、洞窟探検の技術に加えて、ラフティング・流水泳・沢登り・キャニオニング・山岳登攀など幅広い技術が求められます。
洞窟内での情報伝達には、声を使う場合はトランシーバーを、OK/NOなどの意思の疎通にはホイッスルを用いる事が多いです。”
印象に残る洞窟内の環境や生態系
“この洞窟の全貌はまだ明らかにしていませんが、外の気象変化が想像以上に影響を与える事を体感しています。
生態系については、カマドウマという虫、蝙蝠(こうもり)、蛇、ネズミは目視していますが、微小な洞窟性昆虫については専門ではないため、詳細はわかりません。ただし、その分野の研究者が調査すれば新種が見つかる可能性があると思います。
地下河川の流れが緩やかな場所にはエビが生息しています。何エビかは不明ですが、食べられるサイズなので、捕まえた際にはおかずにしています。”
“2018年の探検時、洞窟内にある約10m×40mぐらいのプールで、白いウナギのような生き物を2匹確認しました。これがウナギであると証明できれば、洞窟内の生物として大きな発見になると思います。”
探検中に遭遇した最も感動的な瞬間
“初回の探検時、大きな洞口と幅広い洞内とは裏腹に、約500m進んだところで地下河川が岩盤の下へと潜り込み、行き止まりとなりました。
ところが、周りをよく見渡すと、地下河川の向こう側に狭い通路があることに気づき、決死の覚悟でこの川を渡渉し奥へと進んだら、岩盤の下へと潜った地下河川の先にたどり着くことができました。
その空間は真っ暗闇の中に水の轟音が響き渡る地下峡谷で、長く続く洞窟の姿に感動しました。”
死を覚悟した危険な状況
“2018年度の探検中、急激な増水に見舞われました。
昼食を河川横で食べ終え、再度奥へと進もうとしたとき、川の水音が突然変わったことに気づきました。注視していると、目印にしていた石が瞬く間に水没し、急激に水位が上がっていることにきづきました。
当てもない下流側に逃げても助かる見込みは不明だったため、通ってきた上流側50mほどの場所に2m弱の段差があったことを思い出し、とにかくその場所へと向かいました。
到着した時にはすでに水位は1mを越えており、そこが川の中となるのも時間の問題でしたが、下流にも上流にも逃げ場がない中、上方へと延びる壁のラインが5mほど上で途切れ、その先にも続いている場所を見つけました。その場所が平坦なのか、ただの斜面なのかを検討する余裕も選択肢もなく、ゆるくハングしたその壁を決死のクライミングで登りました。
幸いにもその場所は畳一畳ほどの緩く斜めになったスペースで、そこで足を踏ん張り、ロープで荷物を引き上げ、そして体にロープを巻いてパートナーに登ってもらいました。その後も水位は上昇を続け、目下1mまで迫ったところから低下へと向かいましたが、結局この場所に26時間拘束される事態となりました。
あとは祈るのみ、万策尽きた、座して死を待つ。この言葉を体感した、二度と味わいたくない体験でした。
ちなみに、
水位の上昇が始まったのが8月20日。私の誕生日が8月21日、パートナーの誕生日が8月20日です。この二人の誕生日をまたぐ事態も衝撃でしたが、畳一畳の場所で水位上昇に怯えている夜の12時を回る時に、誕生日を祝おうと思って持参した1つの缶ビールをパートナーから差し出された事がとても深く思い出に残っています。”
※音が出ます。
探検を振り返って誇りに思うこと
“まだまだ途中なので誇りに思えることは少ないですが、毎回無事に帰って来られていることが一つの成果でしょうか。 探検では、座っていても未知は開けない、探し続けること、求め続けること、諦めないこと。日々、目的に向かって挑戦し続けることの大切さを学びました。”
次に挑戦したい探検
“現在も平行して行っていますが、私の探検の集大成は、日本一を超える洞窟を発見し探検することです。これからも、インドネシアのハルマヘラ島と合わせて取り組んでいきます。”
最後に・・・
探検家としてのキャリアを目指す若者へ
“自分の探求心を原動力に、できない理由を考えるのではなく、できる方法を考えて未知を切り開いていってほしいと思います。
そして、熱い情熱を持った探検仲間も常に探しています!”
PROFILE
縣 智丈(あがた ともたけ)
1972年生まれ。愛知県出身。
探検家。元気商會店主。社団法人・日本ケイビング連盟理事、Japan Exploration Team副隊長。
幼少のころから活発的で、今まで手を出したアクティビティは数知れず。広く深くをモットーに、高水準で全てをこなし、それらで培った技術をフル活用し、「人の知らない場所・人が足を踏み入れた事がない場所」を探し求め、国内のみならず世界を巡る探検家。主な対象は洞窟で、人跡未踏の更に先「人知未踏の発見」に情熱を燃やす。
《元気商會HP》
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