本日で、2011年3月11日の東日本大震災(M9.1)と福島第一原発事故から 14年(5156日)です。
2024年1月1日の令和6年能登半島地震(M7.6)から1年3か月(476日)です。
平成7年(1995年)1月17日の阪神・淡路大震災(死者6,437人、重軽傷者43,792人)から 30年 です。
そして、週末4月26日(土曜日)は、史上最悪とされるレベル7の原発事故、1986年のチェルノブイリ原子力発電所爆発事故から 39年 です。
また、
今週4月24日(木曜日)は、「熱中症特別警戒アラート」が運用されてから 1年 です。
日本国内では、毎年1000人を超える人が、熱中症で亡くなっています。
とくに地球温暖化で猛暑リスクは拡大しており、記録的な暑さとなった2023年の夏(6月〜9月)の熱中症死者数は、過去10年間で最多の1555人を記録しました。
環境省で2020年から運用していた「熱中症警戒アラート」の発表数も、僅か数年で倍増したため、日本政府では熱中症リスクの上昇に備え、警戒アラートより一段高い「特別警戒アラート」を新設することになったものです。
「熱中症特別警戒アラート」は、過去に例のないほどの危険な暑さが予想される際に環境省が発表するものですから、もし発表されたら、命を守ることを優先しましょう。
…さて、今週も歳時記コラムをお送りします。
穀雨(こくう)と葭始生(あしはじめてしょうず)
昨日4月20日(日曜日)は、二十四節気の「穀雨(こくう)」を迎え、
本日4月21日(月曜日)は、七十二候(1年を72に分けた暦)の「 葭始生(あしはじめてしょうず) 」となりました。
春の雨が田畑を潤して、穀物の生長を助ける季節となり、ヨシやアシが芽をだし始める頃です。
春の雨は「春雨(はるさめ)」と呼び、春の季語となりますが、その雨の降り方は、どこか穏かで、やわらかいという印象があります。
《 春雨や 土の笑ひも 野に余り 》加賀千代女(1703〜1775)
《 春雨や 柳の下を 濡れて行く 》夏目漱石(1867〜1916)
…ところが、
春の雨は、実際のところ、わりと「雷雨」です。
最近とくに、ここに風も加わり、雨も激しく、雷も鳴りだすほど、ひどく時化(しけ)て、春雨とは程遠い荒れ模様となることも、しばしあるようです。
《 沖すこし 荒れをるさまや 春の雨 》大場白水郎(1890〜1962)
《 晴れんとして なゐ(地震)ふるひけり 春の雨 》寺田寅彦(1878〜1935)
先週、晴れたと思ったら、にわかにゲリラ雷雨(強い雨)となって、突風や竜巻、降雹(ひょう)にまで見舞われたところもございました。
これは、強い寒気を伴った「寒冷渦(かんれいうず)」という台風のような低気圧が、日本海を西から東へとゆっくりと進んだことによるものだそうで、
ところによっては“春の嵐”の荒天が襲いました。
この低気圧の接近が、ちょうど「大阪・関西万博」の開幕(4月13日)と重なってしまったようで、気の毒にも、悪天候で中止となった行事も多々あったようです。
万博会場へと足を運んだ人たちも、午後からの横殴りの雨と、傘も吹き飛ぶほどの激しい風という天候の急変により、混乱状態に陥ったようです。
今週は、22日(火)と23日(水)と天気が崩れて雨の予報ですが、週後半(木曜頃)からは、雨も落ち着くようです。
ただ、かわって、月末のGW序盤は昼に夏日(25℃)となるようで、万博会場での熱中症に注意したいですね。
寒冷渦(かんれいうず)
寒冷渦(切離低気圧や寒冷低気圧とも言う)は、上空に強い寒気を伴う低気圧の一種で、偏西風が南北に大きく蛇行した際に、枝別れして取り残された空気が反時計回りに渦を巻くことで発生するのものです。
前線を伴わないため、一年中いつでも発生する可能性があるといいます。
そして、寒冷渦は、暴風や落雷、雹(ひょう)やあられ、竜巻などの激しい気象現象を引き起こすことがあり、ときに怪我人がでるような災害となります。
※関連コラム
・春なれど寒し、寒気居座り列島大雪に > 偏西風の蛇行と寒冷渦(2025.02.10)
とくに、春季には、ゴルフやサッカーなどの野外活動も多いでしょうから、急な雷雨には注意が必要です。
寒冷渦が発生した際には、最新の気象情報を確認し、外出を控えたり、安全な場所に避難するなど対策が推奨されています。
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春の雷(太平洋側)と冬の雷(日本海側)のお話
近年、地球温暖化で雷(かみなり)の発生数は増えているといいます。
日本では一年間に、10万から多い時は100万回もの落雷が発生すると推計されているそうですが、その多くは、夏場に発生している様です。
気象庁の統計では、日本の落雷被害のうち、半数以上の6割が
夏(6月〜8月)に集中している一方で、
春(3月〜5月)は1割程度と少なく、
秋(9月〜11月)は2割弱、
冬(12月〜2月)は1割強
の落雷被害件数なのだといいます。
日本では雷は、夏や冬を問わず、季節に関係なくいつでも発生しているようですね。
※気象庁 > 落雷害の月別件数
⇒https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-4.html
地域別に落雷をみてみると、春・夏・秋(4月〜10月)は太平洋側で多く発生し、晩秋・冬・早春(11月〜3月)は日本海側で多く被害が発生しています。
雷の発生頻度が季節や地域によって異なる理由は、主に気象条件の違いによります。
春・夏・秋(4月〜10月)は、太平洋側は、強い日差しによって地表近くの空気が暖められ、上昇気流が発生し、これにより積乱雲が形成されやすくなり、雷が多く発生します。
とくに夏は、積乱雲が急速に発達しやすいので、局地的な雷雨が多いようです。
晩秋・冬・早春(11月〜3月)の日本海側では、冬季に寒気が日本海を通過する際に、暖かい海水と冷たい空気がぶつかり合い、雷雲が発生しやすくなります。
冬の雷を「冬季雷(とうきらい)」と呼びますが、世界的にも“冬の雷”は、日本海沿岸とノルウェーの大西洋沿岸くらいしか発生しない、たいへん珍しい現象なのだそうです。
冬の雷は、夏の雷とは異なり、雷雲が低い位置にあることから、そのエネルギーが非常に高いそうで、冬季の日本海沿岸でも特に発雷頻度が高いとされる新潟県〜福井県までの日本海沿岸地域は、冬の雷に注意が必要です。
冬の雷が多い日本海側の地域では、冬季に雪を伴って鳴る雷を「雪起し(ゆきおこし)」などと呼び、また、北陸地方の漁師らは、寒ブリ漁の時期に鳴る冬の雷を「鰤起し(ぶりおこし)」と呼んだそうです。
雷と稲作の関係
「雷(かみなり・らい)」は、光と音の自然現象を指し、「稲妻(いなずま)」や「稲光(いなびかり)」は、雷が落ちた時の“光”のみを意味する言葉です。
そして実は「稲妻」と「稲光」は、秋の季語なのだそうです。
「稲」が付いており、稲刈りの季節だから秋の季語というだけではなく、
大昔の人は、稲の実が結ぶ時期に雷が多く発生していたので、雷光が稲を実らせるのだ、と信じ、そのため、雷を「稲の夫(つま)」に見立てたのが、「稲妻」の語源なのだそうです。
《 稲妻に 悟らぬ人の 貴さよ 》松尾芭蕉(1644〜1694)
《 稲妻や むら雨いはふ 草の原 》小林一茶(1763〜1828)
…季語ついでに…、
雷は、一年中活動するものの、夏ばかりに多いので、ただ「雷」といった場合には、それは俳句で“夏の季語”になるようです。
なので、秋は「秋の雷(あきのらい)」、冬は「冬の雷(ふゆのらい)」などと、いちいち断わりを入れなければなりませんが、
春に鳴る雷だけ「春雷(しゅんらい)」で「の」が入りません。春になって初めて鳴る雷を「初雷(はつらい)」と特別に呼ぶように、一年の始まる春は、新しい始まりへの高揚感も手伝ってか、どこか特別扱いのようです。
《 春雷や 麦の穂先に 触れぬ音 》松尾芭蕉(1644〜1694)
寒雷は凶作、春雷は豊作
昔の人らにとって、稲作と雷の関係性は深く、日本各地には《 寒雷は凶作、春雷は豊作 》という伝承が今も残っています。
「寒雷(かんらい)」は、正確には、小寒(1月5日頃)から節分の翌日(2月4日)までの約30日間の“寒の内”に鳴る冬の雷を指しますが、
古人らは、冬に寒雷が鳴ると“凶作の象徴”と考え、寒さが続き、作物が十分に育たないことを懸念しました。
それに対して、春の「春雷(しゅんらい)」を、暖かい季節の到来を告げる兆しとし、作物の生長に大切な雨や温暖な気候をもたらす“豊作の象徴”と考えました。
農閑期の冬から春にかけて、昔の人たちは、どこか神秘的で不思議な“雷”という自然現象に、次の豊作を祈願した訳です。
雷は天の恵みか?
これら、古くからの言い伝えは、単なる迷信や信仰にとどまらないようです。
実際、気象学では雷雨の際に「窒素酸化物」が多く含まれていることが知られています。
窒素酸化物は、空気中の酸素と窒素が雷の激しい放電によって化合し生成される物質で、1903年にノルウェーの物理学者クリスチャン・ビルケランド(1867〜1917)教授らによる実験によって、放電による空中での窒素酸化物の生成と固定が確認されました。
この窒素酸化物は雨とともに地表に降り注ぎ、土壌の栄養分を豊かにして作物の成長を促すことが科学的に証明されています。
そのため、私たちの祖先も長年の経験則から、稲の生長と雷の関係をある程度理解していたのかもしれません。
なお、余談ですが、ビルケランド教授は東京滞在中、ホテルで大量の睡眠薬を服用し亡くなりました。その死は自殺とも言われており、寺田寅彦の随筆『B教授の死』(1935年)
で紹介されています。
※関連記事
・「春雨じゃ…」穀雨と春雨と春の長雨(2024.04.15)
◆執筆者
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらいひろや)
防災士(日本防災士機構登録No.040075)、日本人間工学会会員。
1970(昭和45)年、東京都世田谷区生まれ。神奈川県横浜市在住。日本大学大学院で安全工学・人間工学を専攻。大学院修了後、大手ゲーム製造メーカーに入社、企画開発、PL(製造物責任法)担当や品質管理(ISO9000)に携わる。2001(平成13)年、災害用長期備蓄食〈サバイバル®フーズ〉の輸入卸元、株式会社セイエンタプライズ取締役に就任。阪神淡路大震災で家族が神戸で罹災、日常の防災意識や危機管理の啓蒙普及を企図した無料メールマガジン『週刊防災格言』を07年よりスタート。毎週月曜日に防災格言を発信し続け2万人の読者を得ている。
【書籍】天災人災格言集―災害はあなたにもやってくる! ¥1,650(税込)
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