おはようございます。
東日本大震災と福島第一原発事故から 13年 (4855日) です。
元日の令和6年能登半島地震から 175回目 の朝を迎えました。
そして、
阿蘇山(熊本県)が前兆もなく突然噴火したことにより、宿直のロープウェイ作業員ら12人が亡くなり、重軽傷者28人をだした1958年(昭和33年)の「阿蘇山噴火災害」から 66年 です。
… … … … … …
さて…
今年の本州の梅雨(つゆ)は本当に遅いですね。
先週末6月21日(金曜日)、ようやく気象庁から「近畿」「東海」「関東甲信」の梅雨入りが発表されました。
いずれも平年より2週間以上遅い梅雨入りだそうで、関東甲信の梅雨入りの発表がここまで遅いのは2007年(平成19年)以来の17年ぶりのできごとだといいます。
ちょうど梅雨入り発表の前日の6月20日(木曜日)には、
“関東甲信では、統計開始の1951年(昭和26年)以来で、過去最も遅い梅雨入りとなりそうだ…”
という報道がされておりました。
それによると、これまで「関東甲信」で最も遅い梅雨入りの記録は、1967年(昭和42年)と2007年(平成19年)の「6月22日頃」だそうで、今回(残念ながら?)記録更新とはならなかったようです。
さて、
異常気象なだけに一般的には“悪いニュース”なのでしょうが、でも“記録更新か?”と聞くと、不思議とワクワクしてしまうものです。
ただ、こういったニュース報道では、なぜか関東甲信ばかりしか言及されません。
そこで、他の地域の「観測史上で梅雨入りが最も遅い日」を調べてみると、「沖縄」の梅雨入り平年日は5月10日頃だそうですが、過去最も遅い梅雨入りの記録は、1963年(昭和38年)の「6月4日頃」で、このときは平年より17日遅れでした。
「奄美」の梅雨入り(平年5月12日頃)で、最も遅いのが2018年(平成30年)の「5月27日頃」(15日遅れ)
「九州南部」の梅雨入り(平年5月30日頃)で、最も遅いのが1967年(昭和42年)の「6月18日頃」(19日遅れ)
「九州北部(山口県含む)」の梅雨入り(平年6月4日頃)で、最も遅いのが2019年(令和元年)「6月26日頃」(22日遅れ)
「四国」の梅雨入り(平年6月5日頃)で、最も遅いのが2019年(令和元年)「6月26日頃」(21日遅れ)
「中国」の梅雨入り(平年6月6日頃)で、最も遅いのが1968年(昭和43年)の「6月24日頃」(18日遅れ)
「近畿」の梅雨入り(平年6月6日頃)で、最も遅いのが2019年(令和元年)の「6月27日頃」(21日遅れ)
「東海」の梅雨入り(平年6月6日頃)で、最も遅いのが1951年(昭和26年)の「6月28日頃」(22日遅れ)
「北陸」の梅雨入り(平年6月11日頃)は、1958年(昭和33年)と1987年(昭和62年)の「6月28日頃」(17日遅れ)
「東北南部」の梅雨入り(平年6月12日頃)は、1967年(昭和42年)と2015年(平成27年)の「6月26日頃」(14日遅れ)
「東北北部」の梅雨入り(平年6月15日頃)で、最も遅いのは2007年(平成19年)の「6月29日頃」(14日遅れ)
でした。
台風19号や15号など台風被害が相次いだ2019年や、2007年が突出して多いように思いますが、割と年度がばらけているように見受けられます。
遅くとも、だいたい2週間(14日)〜3週間ほど(22日)平年に遅れていても、梅雨入りの確定発表はされるものなのですね。
暖かい雨と冷たい雨の話
天気のことわざに《 蒸暑いと雨が降る 》というのがあります。
湿り気が多ければ蒸暑く感じますし、湿り気が多いので、それだけ雨になる可能性が高まる、ということなのでしょう。
そして、この暑い時期に降る雨は、心なしか、どこか暖かい気がします。
雨は雲によってつくられますが、雲は、水蒸気を含んだ空気が上昇し、上空で冷やされると、小さな水滴に変わり、この水滴が集まって雲になります。
さらに上空では気温が低いので、水滴は氷になります。
雲を構成する水滴や氷結晶(氷晶)のことを「雲粒(うんりゅう)」と呼びます。
雲内の水滴や氷晶が、上昇気流のなかで互いにぶつかり合って成長し大きくなって、増えて重くなると、上昇気流が支えきれず、雨や雪として降り始めます。
雲が分厚くなり、太陽の光を遮り、黒っぽく見えるのが、雨が降りやすい曇り空の状態ということですね。
このとき、氷になった氷晶がそのまま降ってきて、途中で融けて水滴となれば《 冷たい雨(氷晶雨=ひょうしょうう)》となり、氷晶のまま地表に落ちてくれば「雪」や「あられ」「ひょう」になります。
日中は真夏のように暑かったのに、夜ずっと雨が降っていて朝起きてみたら寒かった…なんて経験は誰でもありますが、
日本で降る雨は、ふつうはこのような上空では雪だったものが融けて水になったものなので、雨の多くは「冷たい雨(氷晶雨)」というわけです。
しかし、
雲全体が氷点下よりも暖かいときの雨は「暖かい雨」となります。
水滴が、気温が低い氷点下の上空にたどり着く前に成長して、上昇気流で支えきれないほど重くなると、氷晶になる前に雨となって落ちてきます。
これを《 暖かい雨(暖雨=だんう)》と呼びます。
蒸暑い熱帯地方特有の激しいにわか雨を「スコール」と呼ばれますが、スコールはこうしたメカニズムの暖かい雨ということです。
余談ですが、
「暖雨(だんう)」という言葉は、俳句の世界では「春の季語」となっているようです。
春の暖かい雨という意味になりますが、一般的に、陰鬱なイメージのある雨に対して、春の暖かく明るい雰囲気のなかで降る雨という意味合いが強いようです。
ただ、春じゃないでしょ(春の雨は割と寒い)、と個人的には思います。
ジメジメして暑い今頃の梅雨どきに降る雨は「暖雨(だんう)」のような気もしていますが…
はたして、暖かい雨は、いつ頃に降るものなのでしょうか?
日本の暖かい雨(暖雨)は夏だけに降るの…かも?
昭和30年代、暖かい雨が、世界中の気象学者のあいだで話題になりました。
この当時、「冷たい雨(氷晶雨)」はある程度の法則性が分かっていましたが、その一方で、「暖かい雨(暖雨)」はよく分かっていませんでした。
通常、暖かい雨はそれほど強く降りませんが、それでも一時間に20ミリ程度の降水能力があることが、1955年(昭和30年)にハワイで行われた国際観測プロジェクトで初めて判明したそうです。
これを機に、世界中の気象局で「いつ、どこに、暖かい雨が降ったか」を調査するプロジェクトが行われました。
調べると、暖かい雨は、偏東風帯(地球の周りを東から西へ向かって吹いている風)を中心にハワイ、カリブ海、香港、東アフリカ、マダガスカルなどに分布し、年間を通して発生するものの、どちらかといえば冬に多く降ることがわかりました。
他方、偏西風帯(地球の周りを西から東へ向かって吹いている風)では、夏だけに限って発生するらしいこともわかってきました。
北方では、ロシアのサンクトペテルブルク(レニングラード州)の夏にも暖かい雨が降ったこともありました。
そこで日本はどうなのだろうと思った人がいました。
気象庁長官(第5代)を歴任された気象学者の高橋浩一郎(1913〜1991)さんは、東京大学理学部の屋上で1957年(昭和32年)9月7日〜1958年(昭和33年)9月26日の一年以上の期間にわたり、小雨の日も、たとえ台風の日であろうと雨水を採取し続けて、その成分を分析しました。
高橋さんが採取した70の雨水うち、暖かい雨と判断されたものが19例で、残りの51例は氷晶雨でした。
そして、東京の暖かい雨は、1年を通して5月12日に初めて降り、9月10日に最後に降ったことがわかりました。
結果、夏の季節(5月〜9月)だけ暖かい雨が降ったものの、同じ期間内に冷たい雨(氷晶雨)も何回も降っていました。
つまり、東京の夏には、暖かい雨も冷たい雨も両方の雨があったのでした。
この一年だけの調査結果だと、東京では、ゴールデンウィークの終わり頃から暖かい雨が始まるということになりますが、
しかしながら、梅雨の時季に採取された雨は、そのすべてが冷たい雨(氷晶雨)で、暖かい雨は一例もなかったそうです。
夏の雨は、暖かい雨もあれば冷たい雨もあって、梅雨に暖かい雨は降らない、のかもしれません。
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◆執筆者
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらい ひろや)
防災士(日本防災士機構登録No.040075)、日本人間工学会会員。
1970(昭和45)年、東京都世田谷区生まれ。神奈川県横浜市在住。日本大学大学院で安全工学・人間工学を専攻。大学院修了後、大手ゲーム製造メーカーに入社、企画開発、PL(製造物責任法)担当や品質管理(ISO9000)に携わる。2001(平成13)年、災害用長期備蓄食〈サバイバル®フーズ〉の輸入卸元、株式会社セイエンタプライズ取締役に就任。阪神淡路大震災で家族が神戸で罹災、日常の防災意識や危機管理の啓蒙普及を企図した無料メールマガジン『週刊防災格言』を07年よりスタート。毎週月曜日に防災格言を発信し続け2万人の読者を得ている。
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