おはようございます。
東日本大震災と福島第一原発事故から 13年 (4827日) です。
元日の令和6年能登半島地震から 147回目 の朝を迎えました。
今週末の6月1日(土曜日)は「 気象記念日 」「 がけ崩れ防災週間(6/1〜6/7)」です。
気象庁の前身となる気象台の創立記念日(創立1875年6月1日)で、この1875年から、日本の気象観測と地震観測がスタートしました。
さらに、毎年6月は土砂災害防止月間でもあります。
6月に入ってくると、曇りや雨の多い「梅雨(つゆ)」の季節を迎えますが、この雨季には、地すべりや土砂災害などが全国的に発生しやすくなります。
がけ崩れ防災週間は、梅雨を前にした6月初旬に、国民の土砂災害への関心を高める目的で、1973年(昭和48年)に旧建設省(国土交通省)で定められた啓発週間です。
地球環境の変化で徐々に台風も大型化するなど、水害に伴う被害も増えてきています。
とくに洪水や土砂災害(がけ崩れ、土石流、地すべり)は、ほとんどの場合、あらかじめ危険な地域や場所が特定されており、地元ハザードマップで危険箇所として指摘されています。
この機会に、地元行政のWebページで、近隣のハザードマップを確認し、例えば、普段歩いている通勤・通学コース上に、どんな危険があるか…などチェックしておかれると良いでしょう!
麦秋至(ばくしゅういたる)

今週5月30日(木曜日)は七十二候(1年を72に分けた暦)の「 麦秋至(ばくしゅういたる) 」です。
小麦を刈り入れる頃という意味です。
初冬にまいた麦が小麦色に熟し、小麦を刈り入れる収穫期となった初夏の頃のことを“麦秋”とも呼びます。
麦秋と言えば…
原節子、笠智衆、淡島千景らが出演する巨匠・小津安二郎監督の松竹大船映画に『麦秋』(1951年)という名作映画作品がありますが、
このラストシーンでは、大和(奈良県)の耳成山を背景に黄色く波打つ美しい麦畑が映しだされます。
色々あった娘(原節子)の結婚を機に、これまでの人生に想いを巡らせる両親(菅井一郎、東山千栄子)ら家族たちのちょっと複雑な心情を、さわやかな初夏の「麦秋」の時季だと一目でわかる季節感の演出が補完しているのです。
日本映画って良いですねー。
ところで、
小麦といえば、食パン、うどん、ケーキ、ラーメン、お好み焼き、味噌・醤油のような調味料、カレールゥ、唐揚げの衣など、ふだん食べる食品の多くに使われる生活に欠かせない食材の一つです。
しかし、昭和初期には自給率が100%を超えていたこともあった小麦なのですが、いまの日本の自給率はわずか13%しかありません。
なので、令和の今や、麦秋という季語は死語になりつつあります。
小麦は、乾燥を好み湿気に弱い作物なのだそうです。
収穫前に長雨にあたってしまうと穂発芽(ほはつが)を起こし、品質が著しく低下して商品価値がまったくなくなってしまうのだといいます。
日本の気候では、小麦が黄熟する頃の5月〜6月が、ちょうど梅雨期と重なってしまいます。
そのため日本は麦作にあまり適していないようです。
実際、曇雨天が多く観測され、梅雨の長雨災害となった昭和38年(1963年)や昭和45年(1970年)には小麦の収量が平年の半分程度まで激減することになり、その後の農家の生産意欲の減退につながったとされています。
… … … … … …
さて、
能登半島地震から間もなく5ヶ月を迎えます。

石川県で、先週5月23日(木曜日)、地震後の避難生活中の体調悪化などで亡くなったとして30人の方々(珠洲市14人、輪島市9人、能登町7人)を「災害関連死」として正式認定したと発表しました。
今回の認定で、地震による直接死230人と合わせ、震災での死者は260人にのぼります。
その死因では、避難所生活や車中泊などで心身に負荷が生じ各種の疾患により死亡するケースが最も多く、ほかにも、避難所での新型コロナやインフルエンザによるウイルス感染症で亡くなられた方々、避難したビニールハウスで転倒し、自力で動くことができずに低体温症で亡くなられたケースがあったそうです。
「災害関連死(二次災害)」が大きく注目されるきっかけとなったのは、2004年(平成16年)の新潟県中越地震からだったと思いますが…
この震災では、長期化した避難生活中の車中泊により静脈血栓塞栓症、いわゆる“エコノミークラス症候群”で亡くなる罹災者が多く発生し話題となりました。
新潟県中越地震での全体の死者68人のうち、災害関連死(の認定者数)は52人にのぼり、地震による直接死16人の3倍に達しています。
災害直後は、避難所には見ず知らずの多くの人たちが集い一緒に暮らすことになります。
ただでさえ、電気・ガスなどライフライン寸断や断水で、衛生状態も悪く、普通の生活もままならないのに、周囲の他人とのプライバシーを気にしながら、慣れない避難生活を長期間続けることは、かなりの負担(ストレス)となることは容易に想像できます。
様々な制限も生じる集団での避難生活下では、例えば周囲への気遣いから、夜中のトイレを我慢したり、トイレに行かないように水分を摂らないようにしたりする避難者も多くいらしたようです。
そうしたことから、避難所に指定されていた小中学校の校庭に自家用車を停めて、周囲に気にせずに、車で寝泊まりする方々も多くいらしたのだと、当時報道されていました。
身体的な行動の自由が制限される狭い車中に長期間寝泊りすることで、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)を発症させ、心筋梗塞・脳梗塞などで亡くなるケースが多発したとも言われました。
内閣府の資料(「災害関連死について」)によると、
「災害関連死」に認定された事例では、
・避難中の車内での疲労による心疾患
・地震後の疲労等による心不全
・地震による栄養障害及び持病の悪化等
・高齢者が慣れない避難所生活から肺炎状態となる
・地震による疲労が原因と思われる交通事故
・エコノミー症候群の疑い
・地震のショック及び余震への恐怖が原因で急性心筋梗塞
などが紹介されていました。
震災を契機に、避難生活が原因で亡くなる災害関連死を少しでも減らせるように避難所の生活環境の改善への取り組みが議論されるようになり、その後「災害対策基本法」の一部改正が行われました。
法改正により、避難所の良好な生活環境の確保、被災者の避難生活へのきめ細やかな支援を実施することが、実際の避難所運営を担う行政(市町村)に求められるようになり、政府から行政に向けて「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」が示されています。
今では、2004年の当時よりも避難所の環境は、プライバシーの確保なども進み、だいぶん改善されているようですが、それでも不便な避難所暮らしを余儀なくされることは誰もが嫌なものです。
震災で生き残っても、その後の生活で、栄養不足や運動不足となって心身を壊したり、健康を害したりすることは、ときに命に係わる問題となるため、できるだけ避けたいものです。
個人でできる対策にも限界はあるのでしょうが、悪環境下であっても、例えば、ちょっとした運動やストレッチに心がけるだけで、結果は大きく違ってくるかもしれません。
私どもセイショップでは、各種の専門家の先生(防災BCP、メンタルヘルス、運動トレーナー)を交え、避難所生活で簡単に実施できる「災害時のストレスケア」「体のストレッチやトレーニング」方法を、わかりやすいイラストとともに簡単に一冊にまとめたオリジナル防災マニュアル【災害行動情報BOOK+】を作りました。
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◆執筆者
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらい ひろや)
防災士(日本防災士機構登録No.040075)、日本人間工学会会員。
1970(昭和45)年、東京都世田谷区生まれ。神奈川県横浜市在住。日本大学大学院で安全工学・人間工学を専攻。大学院修了後、大手ゲーム製造メーカーに入社、企画開発、PL(製造物責任法)担当や品質管理(ISO9000)に携わる。2001(平成13)年、災害用長期備蓄食〈サバイバル®フーズ〉の輸入卸元、株式会社セイエンタプライズ取締役に就任。阪神淡路大震災で家族が神戸で罹災、日常の防災意識や危機管理の啓蒙普及を企図した無料メールマガジン『週刊防災格言』を07年よりスタート。毎週月曜日に防災格言を発信し続け2万人の読者を得ている。
【書籍】天災人災格言集―災害はあなたにもやってくる! ¥1,650(税込)
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