おはようございます。
2024年1月1日の「 令和6年能登半島地震(M7.6) 」から 2年5か月 (882日) です。
2011年3月11日の「 東日本大震災(M9.1) 」と「 福島第一原発事故 」から 15年 (5562日) を迎えました。
2016年4月14日と4月16日の2日間に震度7が2度襲った「 熊本地震(M6.5、M7.3 死者275人、重軽傷者2,739人) 」から 10年 です。
1995年1月17日の「 阪神・淡路大震災(M7.3 死者6,437人、重軽傷者43,792人) 」から 31年 です。
米国とイスラエルによる対イラン攻撃(2月28日)から、今日で 3か月 (94日) が経過しました。
台風6号(チャンミー)
本格的な台風シーズンを前に、台風が日本に接近する恐れがでています。進路はまだ不安定ですが、気象庁によると、強い勢力で沖縄・奄美に接近し、その後、西日本〜東日本に接近する見込みです。
問題は、いま前線が本州付近に存在しており、台風が接近すれば、広域で大雨となるリスクが高まることですので、今後の防災気象情報に留意してください。
6月の台風の特徴
6月は台風を北へ導く気流が安定しない一方、前線に暖湿気が流入して降雨が強化されるため、広域で大雨となりやすい特徴があります。
この時期に台風が接近してくると、日本付近に停滞する梅雨前線とあわさる事で、南の暖かい湿気が供給されて降雨がより強化されます。いわば前線が大雨を増幅させて広範囲に大雨(線状降水帯が発生する可能性もある)をもたらす「雨台風」になる可能性がある、という訳です。
一般的に、台風は年間に平均約25個ほど発生し、そのピークは7月〜10月です。一方で、5月〜6月(初夏)のこの時期は、海水温や対流活動といった台風の発生域がまだ北に広がっていないため、台風の発生は平均1個〜2個程度と少ないものです。
また、発生したとしても、6月は台風を北へ導く気流が安定しないため(固定された高気圧がなく不安定)台風は北上しづらく、日本への接近数も9月などの台風シーズンと比べると大幅に少ないようです。
ただ、初夏でも、太平洋高気圧(亜熱帯高気圧)が日本の東(南東海上)に偏っていたり、本州付近に梅雨前線が停滞して周囲に低気圧が配置していたりと、こうした特定の気圧配置になっている場合に台風が北上して、日本へ接近することがあります。
今回は、現在の気圧配置が、ちょうどこの状況に当たるため、台風が接近する可能性が高まっている、ということになります。
ただ、初夏(6月)の今頃は、太平洋高気圧・前線・偏西風がせめぎ合っており、数日で張り出したり、引っ込んだりを繰り返している段階です。本格的な台風シーズンの7月〜8月にみられる「太平洋高気圧が日本を覆う気圧配置」の夏型パターンが安定していません。そのため、今後、進路が変わる可能性があります。
台風が接近する場合は、梅雨前線は高気圧の北縁に位置するため影響を受け、先行して広い範囲で雨が降ります。
今後の台風の進路によっては、長雨となる可能性や、大雨をもたらす可能性もあるため、今後の気象情報に留意下さい。
「線状降水帯予報」5年、今月から2〜3時間前の直前予測が新たにスタート
2021年(令和3年)6月17日から始まった気象庁の「線状降水帯予報」運用開始から間もなく 5年 です。
これから日本は梅雨に入り、大雨の季節を迎えます。その後、夏から秋にかけては台風の接近も増え、線状降水帯の発生にも注意が必要です。
同じ場所に活発な雨雲が列になって停滞し続け、局所的に長時間にわたって激しい雨(極端豪雨)を降らせる現象を「線状降水帯」と呼んでいます。線状降水帯は、豪雨による災害発生の危険度(洪水、土砂災害)が急激に高まる前兆として知られています。
戦後、都市化や開発で人が住むエリアが山側などにも広がったことで注目されるようになったのが“局地的なゲリラ豪雨”であり、最近では、気候変動(地球温暖化)で雨の強さと頻度が増し、それに伴って線状降水帯も増加しているとされています。気候シミュレーションでは温暖化で、こうした豪雨の発生頻度は1.3倍から1.6倍に増加する可能性が指摘されてもいました。
気象庁の資料ベース(JMAデータベース)でみると、2022年の線状降水帯の発生事例(地方予報区単位)が「11事例」、2023年が「13事例」、そして2024年が「19事例」と増えているのが分かります。だんだんと気象リスクが常態化していくなかで「線状降水帯予測」の必要性が急務となっていきました。
尚、話の腰を折って恐縮ですが、実際には豪雨の件数が「急増している」と断定できるような科学的な定量データは、正直、不足しているようです(N数が少なすぎる)。
一見して増えたように見えるのは、ちょっとずるい統計で、実際は気象レーダーや判定基準の技術が年々高度化していることが一因ではないかと考えられます。ただ、降雨の強さ、いわゆる1時間に何ミリという時間雨量のレベルが年々増加傾向にあるという点は事実のようです。
だから例え、発生頻度が変わらなくても、一度の雨量が増すことで、災害がより激甚化する可能性が高い、というのが言えるのです。
局地的豪雨による水害は、雨の降りはじめからほんのわずかな時間を経て発生し、一瞬で人の命を奪っていきます。だから、事前の警報(警告)は、とても大事なのです。
しかし、広範囲にまたがる雨の降る確率の予測はできても、ただ一点の局地だけの雨の予測は技術的にも非常に難しいものでした。そんな、昔は不可能だと思われていたリアルタイム予測技術の進歩で、例え、空振りであっても(予報がハズレても良いから)命を守ることを優先にスタートしたのがこの「線状降水帯予測」です。(言い過ぎか?)
この5年間でさらに技術も進歩し、今月末からは、線状降水帯が発生する2時間から3時間前を目標に「線状降水帯直前予測」が発表されるようになりました。
直前予測が発表された際は、危険な状況にある可能性が高く、崖や川の近くなど危ない場所にいたら速やかに避難行動を取りましょう。
殊に、こうしたゲリラ豪雨などの突発災害の被害を最小限に抑えるためには、平時からの備えと判断力が重要となります。
“備え”は説明するまでも無いと思いますが、“判断力”を養うためには、こうした予防知識にあらかじめ接しておかれることが割と大切かと思います。
※気象庁 > 線状降水帯直前予測の運用開始について(2026年3月10日発表)
https://www.jma.go.jp/jma/press/2603/10b/20260310_SLMCS.html
※平井敬也執筆の関連コラム記事
・ゲリラ的な集中豪雨災害が多くなった理由(2023.06.19)
・日常化する100ミリの大雨(記録的短時間大雨情報)(2025.07.14)
・観測史上で最も遅い「猛暑日」と線状降水帯(極端な雨)(2023.09.25)
・「大気の川(AR)」と「線状降水帯」のお話(2023.07.17)
・2021年スタートの「線状降水帯予報(顕著な大雨に関する気象情報)」(2023.06.05)
・台風と地震の増加は地球温暖化のせい?(2024.08.26)
話変わって、熊(クマ)が話題です。
私のルーツは静岡県富士市にあるのですが、その隣、裾野市須山エリア(富士サファリパークとか自衛隊の富士山演習場がある辺り)では、今年に入ってクマ(ツキノワグマ)の目撃情報が相次いでいます。先週一週間は毎日のようにクマが市街地で目撃され、全国ニュースにも取り上げられる騒動となりました。複数個体がいるとみられ、捕獲もされずに、いまも山と市街地を移動していると考えられているそうです。
静岡県東部(富士山周辺)は昔からクマの生息域とされていますが「主要分布域ではない」ため、例年なら、目撃情報がでたとしても、夏から秋にポツポツ(1年間に数件)といった程度のものでした。私も40年近く富士山に通っていますが、このエリアで過去一度も野生のクマを見たことがありません。
ところが今年は夏前5月から毎日連続で出没(しかも市街地に)ということで“異例”と騒がれている訳です。
きっと他の地域の出没事例でも、似たようなものなのかなと思います。
だから、こんなに町中にクマが出没して危険なのに「何で早く駆除しないの?」は当然の疑問です。
異なる行政のお話ですが…、報道では、クマ出没の地方自治体には、市民からの過剰とも思えるような苦情(クマを殺すな、かわいそう等)や批判も寄せられているそうで、各自治体はその対応に苦慮している様です。先日のニュースによると、岩手県の町村会で、駆除の必要性について積極的な啓発活動を求める緊急要望書を県に提出した、とありました。
1件の苦情電話が2時間以上続いたり、200件以上の苦情が役所に届いたりといった具合だそうです。静岡県はまだそのレベルではないと思われますが、こうした役所の担当者も気の毒ですね。
※毎日新聞(東北版) > クマ捕獲に過剰な苦情「夜遅くまで」岩手県へ町村会が要望書(2026.5.28付)
https://mainichi.jp/articles/20260528/k00/00m/040/122000c
クマと言っても2メートル超のヒグマから、1メートルのツキノワグマまで、体格も様々でしょうから単純化はできませんが…。
一般的に、クマの攻撃力はどれくらい、かというと、クマの一撃は、人間の50倍(最大100倍近いとも)の威力とされているようです。
プロボクサーのパンチ力は、一般人の5倍から10倍の威力の約250キロ(2,500 N(ニュートン))〜約500キロ(5,000 N)とされますが(※諸説ある)、それに対して、熊は約2トン(20,000 N)、突進しながら前足を振り下ろしたりすると推計5トン(50,000 N)以上の威力にもなるとされ、条件によっては一般人のパンチ力の100倍ものパワーになるとか…。
人間の骨が破壊される物理的な力は「数千N」と言われるので、たった1発のクマパンチで、余裕で人の骨が破壊されます。
また、熊はただ叩くだけではなく 爪と掌と体重で、叩く・裂く・押しつぶす複合攻撃だとかで、熊に襲われた人は、肋骨骨折、鎖骨粉砕、頭部損傷の致命傷を受けてしまうそうです。
その昔(昭和時代)、熊殺しの異名の空手家がいましたが、例えかのウィリー・ウィリアムスであっても、本物の野生の熊には敵わないでしょう。
…さて、日本の制度上では、クマの駆除はそう簡単でないようです。「捕れるが、自由には捕れない」とか…。
日本の熊には、絶滅リスクの歴史があり、狩猟が盛んな明治から戦後初期の「狩猟法」時代には、過剰駆除により地域によっては個体数が大きく減少し、絶滅が懸念されることもあったようです。
その反省で、熊を保護する方向に政策が段階的に進み、1963年(昭和38年)の 「鳥獣保護法」から、現在の「原則保護(捕獲には許可が必要)」の方針が強化されてきました。
戦後、狩猟から保護の方針転換とともに、都市化や高齢化の影響もあり、この数十年間でマタギやハンターの人数は激減し、高齢化による深刻なハンター不足に陥りました。
そもそも、熊が町中に出没しても、地方自治体の判断では、おおむね…
① 出没→② 追い払い→③ 再出没→④ 監視強化→⑤ 危険度の判断→⑥ 捕獲許可申請→⑦ 捕獲(場合によって殺処分)
といった段階的な対応をとるケースが多いようで、対応が後手後手に回ります。国民の生命問題(国民保護)なのにも関わらず、迅速な対応が難しいのが実情のようです。
アメリカや欧州も“ヒューマニズム”の国なので、基本、動物保護は盛んではありますが、日本が原則「保護」で必要時のみ捕獲(事後対応)という制度なのに対し、欧米では「Wildlife
Management(野生動物管理)」を前提に、個体数が科学的に管理され、計画的に間引き(増える前に減らす予防型)がされているそうです。
キツネ狩りの文化もあって、狩猟シーズンまで設定され、許可枠内で合法的に狩猟もできたりします。
この違いが「対応の速さ」と「被害の出方」を大きく分けているようにも思います。
事件があって初めて対応する日本に比べ、リスク管理社会を標榜する欧米の「危機管理」は、だいぶんスマートなようです。(補足すると、アメリカでは数値管理を取り入れている点で合理的な一方、保護と管理のバランスを巡る議論は今も続いているようです。)
ただ、市街地の密度が高い日本では、発砲によるリスクが高いので、こうした欧米型の管理もなかなか難しいのかもしれません。
しかし、昨年来の熊による獣害の加速度的な増加を考えると、近いうちに、欧米の「管理モデル」に日本も近づいていくのでしょうね。
※実際に一部自治体では保護中心から予防・管理型に移行途中という話も聞きますが、野生動物のリスクは専門外過ぎて詳細を知りません。すいません。
結局のところ、きちんとした制度システムの設計をしたうえで、命にかかわるハンターの仕事に対して、それに見合うだけのコストと敬意を同時に払うようにしないと、クマ害問題も容易に解決しないかもしれません。
※関連コラム
・クマ害と子供が死なないと政府は動かない、を考える(2025.11.03)
《 執筆者 》
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらいひろや)
「平井敬也の防災歳時記」をメールで読みませんか?
スタッフブログ「平井敬也の防災歳時記」は、2007年から配信している防災情報メルマガ「週刊防災格言」を元に作成しています。
防災士・平井敬也が災害に備える知識を、毎週月曜日に無料でお届け。
いざという時の安心を日常の中で少しずつ備えませんか?






