おはようございます。
2024年1月1日の「令和6年能登半島地震(M7.6)」から 2年3か月 (847日) が過ぎました。
2011年3月11日の「東日本大震災(M9.1)」と「福島第一原発事故」から 15年 (5527日) を迎えました。
2016年4月14日と4月16日の2日間に震度7が2度襲った「熊本地震(M6.5、M7.3 死者275人、重軽傷者2,739人)」から 10年 です。
1995年1月17日の「阪神・淡路大震災(M7.3 死者6,437人、重軽傷者43,792人)」から 31年 です。
そして…、
米国とイスラエルによる対イラン攻撃(2月28日)から、本日で 59日 が経過しました。
この期間で、日本の石油企業(元売・開発会社)は、ホルムズ海峡に依存しない原油のスポット的な代替調達を積み上げてきています。
その結果、当初は「約8か月分」とされていた在庫(備蓄)が、一時的ではあるものの「来年の年明けまで確保できる水準」に達したとの見方も出ています。
こうした点から、他のアジア諸国と比べ、日本は相対的に余力があるとの楽観論も聞かれますが、ただ、この動きは恒久的な原油調達ではありません。エネルギーの安定供給という観点では、依然として不安定な土台の上にあるようです。
加えて、見落とせないのが、ナフサ由来製品の問題です。
ナフサ由来のプラスチックや接着剤、溶剤などは国家備蓄の対象外にあり、原油やガソリンが足りていても、実際の現場では必要な資材が不足しています。その影響はすでに建設、製造、住宅設備など幅広い業界に及び、生産や工事が止まる事例も相次いでいるようです。
4月21日、停戦期限(日本時間4月23日午前)を前に、米国のトランプ大統領は「イランとの停戦を延長する」と表明したものの、その立場を二転三転させました。
4月23日、結局、期待されたパキスタンでの2回目の米イラン和平協議は開催されずに、停戦期限は延長されました。
ただ、世界は、イランと米国の停戦期限延長による地政学リスク緩和への期待感もあって、日経平均株価が初めて一時6万円台を突破することになりました。
イスラエルとレバノンの和平協議の行方次第なのかもしれませんが、情勢の先行きはなお見通せない状況が続くようです。
(※注、本メルマガは4/23に執筆しています。)
―― ゴールデンウィークの日程 ――
セイショップのお休みは カレンダー通り です。
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霜止出苗(しもやんで なえ いず)
4月25日(土曜日)〜29日(水曜日)までの期間は、七十二候(1年を72に分けた暦)の「 霜止出苗(しもやんで なえ いず)」です。
温かい日が増えて、霜が降ることもなくなり、そろそろ苗が青菜をだす頃となりました。農家では、いよいよ稲作の本格的なシーズンが始まります。
4月頃に稲の種籾(たねもみ)を育苗箱にまく「種まき」が行われ、そこから発芽しすくすくと育っている稲を、苗代田(なわしろだ)へ移動する頃で、ゴールデンウィーク前後には多くの田んぼで 田植え が行われることになります。
…さて、
しかしながら、この田植え期(4月〜5月)は、田植機やトラクターが集中的に稼働するため、稲作工程のなかでも燃料使用が最も集中する局面となります。
報道によれば、農業用燃料は年間9,000リットルから1万リットル以上を使う農家も珍しくないとされています。軽油価格の上昇は、そのまま農業経営のコストに跳ね返ります。
ホルムズ海峡危機以前の2026年2月時点では、軽油価格は1リットル当たり145円程度でした。それが3月には一時178円まで上昇し、現在は156円前後で推移しました。
平時と比べて1リットル当たり約10円の値上がりと考えても、年間1万リットルを使う農家ではおよそ10万円のコスト増になります。これは一見すると、それほど大きな額ではないようにも見えます。
しかし、農林水産省の統計によると、水稲作付経営体の約97%を占める10ヘクタール未満の経営では、年間の農業所得が200万円を下回る年が多いとされています。しかも、この「農業所得」とは、売上から資材費、燃料費、機械の修理費、減価償却費などを差し引いた後の数字であり、農業従事者自身の労働賃金は含まれていないそうです。
つまり200万円とは、生活費を賄う前段階の金額にすぎないということになります。その200万円に対して燃料費の上昇分10万円は約5%を占めます。言い換えれば、所得の5%が一気に失われたことになります。
さらに実際の現場では、燃料だけでなく、肥料(原油・天然ガス由来)、農薬、ビニール資材などが同時に値上がりしており、それらを簡単に米価へ転嫁できる状況にはありません。
今年これから田植え期を迎える農家にとって、原油高の影響は決して軽いものではないと言えそうで、10円の軽油高は、稲作にとって価格問題だけではなく、農業を続けられるかどうかにも直結する問題なのかもしれません。
日本では戦後一貫して食料自給率の低さが指摘され、ここ10年はカロリーベースで38%〜39%という低位横ばいの状態が続いてきました。
農業改革や食料安全保障の議論も長年繰り返されてきましたが、今回の原油高や資材高を通じて見えてくるのは、農業が“薄い利益構造”の上に成り立っているという現実です。
そうすると、本当に問われているのは、自給率の数字だけではなくて、農家などの食料生産者が安定して生産を続けられる条件を、私たちの社会はどう支えるのか、という点なのかな、と思います。
現代の農業生産現場は、エネルギーの半分を化石燃料(石油・ガス)に依存していると言います。燃料がなければ食料生産もままならないので、燃料や肥料といった基盤部分が揺らげば、食料生産は簡単に立ち行かなくなります。
今回のエネルギー危機を通じ、日本の農業生産と食料安全保障の脆弱さについて、改めて考える良いきっかけになったのかもしれません。
※尚、農業用機械(トラクター等)には免税軽油制度があって、実際の取引価格とは異なるでしょうが、免税軽油でも卸価格の上昇分は免れません。
※関連コラム
・二宮尊徳の食料備蓄論「九年の蓄え」のお話(2026.04.06)
長野県北部地震(2026年4月18日)
話変わって、先週は、地震 が続きました。
4月18日(土曜日)13時20分と14時54分頃の2回、長野県北部(北信地方)を震源とするマグニチュード5クラスのやや大きな地震が発生し、大町市美麻で震度5強、長野市で震度5弱の強い揺れが立て続けに観測されています。その後も、最大震度3〜4程度の余震も続きました。
震源の深さが10キロ、8キロと浅く、突き上げるような直下型地震だったようで、道路やライフラインに大きな被害はでていませんが、家の壁が剥がれたり、屋根瓦が落下したりといった小被害が多数報告されています。
偶然にも、ちょうど1年前の2025年4月18日の夜に長野県北部を震源とする地震(M5.1)が起っていました。
この時も大町市で震度5弱が観測されています。
…さて、長野県は日本有数の 内陸地震多発地域 です。
長野県内ではプレート境界の巨大地震よりも、地下の浅い場所で発生する内陸直下型地震による被害が目立ちます。
地震が多いのは、県内を南北に縦断する糸魚川−静岡構造線断層帯をはじめ、長野盆地西縁断層帯、伊那谷断層帯など、多数の活断層が集中しているからです。
歴史を振り返ると、古くは、西暦762年と西暦841年にマグニチュード7クラスの大地震があり、1847年の「 善光寺地震(M7.4 大火災で推定死者8,000人〜12,000人) 」や、1984年の「 長野県西部地震(M6.8死者29人 負傷者10人) 」、2014年の「 長野県神城断層地震(M6.7 震度6弱、負傷者 46人) 」、2011年の「 長野県北部地震 (M6.7 栄村で震度6強、死者3人、負傷者46人)」など、繰り返し大きな被害地震が発生してきました。
長野県北部の震源に限っても、直近だけで、2011年3月12日(M6.7 栄村で震度6強、長野県内の死傷者15人)、2012年7月10日(M5.2 震度5弱、中野市で負傷3人)、2014年11月22日(M6.7震度6弱、木曽町・王滝村で負傷2人)、2025年4月18日(M5.1 大町市で震度5弱 負傷1人)など被害が頻発しています。
長野県の地震リスクは「大地震がまれに起きる」ことよりも、中規模の揺れが繰り返し発生し、そのたびに被害が積み重なっていく点にあります。
今回の地震もその延長線上に位置づけられるもので、家具の固定や避難行動の確認といった、日常に即した備えの大切さを、改めて私たちに教えてくれました。
地震は突然やってくるもので、その被害程度は、その時の揺れ方や、周りの状況などの環境要因で、かなり大きく異なるものです。そのため「 昔経験した時はあの程度だから、きっと次も大丈夫(ベテランバイアスと言う)」と思わず、常日頃の備えは見直すようにして下さい。
※善光寺地震の防災格言 > 高橋雄豺(1889〜1979 / 読売新聞社副社長)
https://shisokuyubi.com/bousai-kakugen/index-707
※長野県伊那地方の災害伝承「未満水(1715年6月)」と「三六・六豪雨(1961年6月)」
https://shisokuyubi.com/bousai-kakugen/index-814
三陸沖地震(2026年4月20日)
2026年4月20日(月曜日)16時53分頃、東北の三陸沖でマグニチュード7.7の大きな地震が発生し、青森県で震度5強、宮城県(登米市など)で震度5弱を観測しました。
怪我人が2人(4/21 18:00時点)と大きな被害は出ていませんが、今後、もっと規模の大きな最大マグニチュード9クラスの巨大地震が起きる可能性が(相対的に)高まったとして、19時30分に内閣府(防災担当)と気象庁から「北海道・三陸沖後発地震注意情報 」が発表されました。
※気象庁 > 北海道・三陸沖後発地震注意情報について(2026年4月20日発表)
https://www.jma.go.jp/jma/press/2604/20b/nceq202604201920.html
北海道・三陸沖後発地震注意情報は、北海道根室沖から青森県沖を震源とする地震が再び起きる確率が普段より高まっているとして国民に注意を呼びかけるもので、発表からおおむね一週間程度続く警報です。(何事もなければ、最初の地震から168時間(1週間)後の4月27日17時に、自動的に解除されることになっています。)
なお、余談ですが、こうした国民への注意情報が発表されると、連日、テレビなどのメディアでは「地震注意」のテロップが流れ続けますが、メディアには、別段、テロップを流し続けなさい、といった法律(放送法)による直接義務はありません。
大手メディアの公共性と社会的責任、そして行政からの強い要請によって「正式な国家防災情報」を準義務的に常時表示している、といったことになります。
平時の感覚からすると少し過剰に感じられるかもしれませんが、国民保護の上では、とても必要なことです。
それは、大災害リスクの確率論的に、注意情報が出されている瞬間は「 平時ではない 」からです。
…さて、
三陸沖地震とは、東北地方太平洋沖(東日本大震災と同じエリア)の日本海溝沿いで繰り返し発生してきた海溝型地震の総称で、いわゆるやや遠い沖合で発生する海溝型地震です。
そのため、突き上げるような直下型の揺れとは違い、ゆらゆらと船酔いしそうな揺れと、震源から遠く離れた高層ビルなどにも「
長周期地震動」と呼ばれる、長く続く揺れが襲うとともに、海から巨大津波が沿岸を襲う可能性が高いため、想像以上に甚大な被害となる場合もあり得るとされます。
今回も一時「3メートル」の津波警報も発令されて、最大で80センチの津波高が観測されました。
歴史的にこの地域は、太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込むことで、常に、地震の元ととなる“巨大なひずみ”が蓄積され、ときに強い揺れや甚大な津波を伴う地震が発生してきました。
1896年の「 明治三陸地震(M8.5 死者・行方不明者21,959人) 」や1933年の「 昭和三陸地震(M8.1 死者・行方不明者3,064人) 」、そして2011年の「 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(M9.1死者・行方不明者22,336人)」は、その代表例です。
三陸沖の地震は震源が陸地から離れているため、揺れが比較的小さく見えても、大きな津波が発生することがある点が特徴とされています。こうした背景のもと、近年注目されているのが「 後発地震 」への警戒です。
大きな地震の後、同じ周辺海域でさらに規模の大きい地震が続く可能性がある場合、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表し、住民に特別な備えを呼びかけます。
これは直ちに次の地震が起きるという予測ではありませんが、一定期間はすぐ避難できる態勢を維持するなど、平常時より一段高い警戒が求められるものです。
三陸沖は、過去の調査からも「地震空白域」とされる区間を含み、長期的な視点でも大規模地震の切迫性が指摘されています。今回の地震と注意情報は、三陸沖が現在も活動期にあることを改めて示すもので、「 震度5だから被害が少なかった」などと地震の揺れの大きさにだけにとらわれ過ぎずに、津波や後発地震のリスクを含めて理解することが必要です。
そして、大地震は、いつか必ず起こるものの、それがいつ起きるのかは、予知できません。
故に、大地震は、今回のような“後発地震の注意情報”が発表されていない状況であっても突発的に発生することが多いため、日頃から避難行動や備えを具体的に確認しておくことがとても重要です。
また、政府も次の事を留意事項として繰り返し述べています。
――こうした最大クラスの津波を伴う海溝型巨大地震に備えることも大切ですが、それよりも規模が小さい発生確率の高い地震や、比較的浅い場所で発生する直下型地震にも備える必要があります。
ホルムズ海峡封鎖に伴うエネルギー危機と様々な物資の枯渇への不安は、私たちに平時からの“備蓄”の必要性を再認識させることになりました。地震や火山噴火といった自然災害も、いつかは分かりませんが、どこかで確実に発生するのですから、どうせ備蓄する必要があるのであれば、こうした“きっかけ”を使って備えをより充実させていくのが良いでしょう。
※関連コラム
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《 執筆者 》
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらいひろや)
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