おはようございます。
2024年1月1日の「令和6年能登半島地震(M7.6)」から 2年3か月 (819日) が過ぎました。
2011年3月11日の「東日本大震災(M9.1)」と「福島第一原発事故」から 15年 (5499日) を迎えました。
1995年1月17日の「阪神・淡路大震災(M7.3 死者6,437人、重軽傷者43,792人)」から 31年目 です。
春の空は落ち着きがない
本日3月30日(月曜日)は、七十二候(1年を72に分けた暦)の「 雷乃発声(らいすなわちこえをはっす) 」です。
立春後にはじめて鳴る雷を「初雷」と呼びますが、春の初雷が鳴りだす頃となりました。
朝、雲ひとつない空を見て「今日は傘はいらないだろう」と思って出勤したのに、終業の頃、空は一変。
冷たい雨に打たれながら、ずぶぬれで家路につく──。
ちょうど今の「春先」には、よくある光景です。
雨に濡れて帰った人は、自分の“不運”を嘆くかもしれません。
…ですが、それは“偶然の不運”ではなく、単なる準備不足が招いた“油断”にほかなりません。
春の空は、気まぐれというより落ち着きがないのです。
晴天から急に雷雨や突風を伴う荒れた天気になることが、春先には多くなります。
春先は、冬の冷たい空気と、初夏に向かう暖かく湿った空気が日本付近で激しくぶつかるため、空の状態が急変しやすくなっているのです。
この季節、地上では日差しが一日で空気を暖め、一方、上空にはまだ冬の名残の冷たい空気が居座っています。
見た目は穏やかな青空でも、空の中では暖かい空気と冷たい空気がせめぎ合い、夕方になるにつれて、その綱引きが表に出てくる。
仕事帰りの雨は、一日のうちに蓄えられた「熱」と上空の「寒さ」が引き金になった、春先に多い気象です。
夏の夕立のような派手な雨ではありませんが、春の雨はしばしば、天気予報もハズれて予告なしに降ります。
この季節は、朝の天気だけで一日を判断しないことが重要で、今は、そういう“荒天の季節”であることを理解し、「念のための傘(折りたたみ傘)」を持つようにしましょう。
尚、セイショップでは、晴雨兼用(完全遮光100%・UVカット率100%・UPF50+)で、驚くくらい強風にも強い(ポリカーボネート採用)、コスパ最強の「折りたたみ傘」を販売しています。
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※関連コラム
・春の訪れ告げる春雷と荒天のお話(2025.03.31)
・菅原道真公(雷様)と秋分の関係を考える(2025.09.22) > 雷乃収声(らいすなわちこえをおさむ)
イラン攻撃から1か月「史上最大のエネルギー危機」か…
米国とイスラエルによる対イラン攻撃(2月28日)から、本日で1か月(31日)が経過しました。
陳腐な言い回しで恐縮ですが、世界は本当に困った状況に置かれています。
先週3月23日および25日、国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の物流麻痺で、世界は1970年代のオイルショックを超えるような「史上最大のエネルギー危機」に直面することになりかねない、と相次いで警鐘を鳴らしました。
イランなどの中東の産油国もエネルギー資源を輸出することで国家経済が成り立っているため、1970年代のオイルショックも含めて、ホルムズ海峡そのものが完全に閉鎖されたことは過去一度もありませんでした。
ところが、今回は違います。タンカーの通航量が、ほとんどゼロ近くに急減し、史上初めてホルムズ海峡が機能停止しました。これが、世界史上最大のエネルギー供給障害、とされる由縁です。
こうした中、日本政府は3月16日から原油の民間備蓄(15日分)の先行放出に踏み切り、さらに3月26日からは国家備蓄30日分(約850万キロリットル)の放出を開始しました。
一方で、ホルムズ海峡の混乱を真正面から受け、すでに深刻化しつつあるのが、プラスチックなど化学工業の基礎原料である「ナフサ」です。
ナフサは約6割を輸入に依存し、残る4割が国内精製分ですが、輸入分の7割以上が中東依存とされています。にもかかわらず、ナフサは「産業用原料」、いわば企業在庫として扱われ、国家備蓄制度の対象外に置かれてきました。
加えてナフサは、ガソリンや灯油、軽油と同じく原油精製の過程で得られる成分であり、生産量の調整、いわゆる歩留まりの制御が極めて難しいという特性があります。そのため、政府が原油の備蓄を放出したからといって、ナフサが直ちに市場へ供給される、という単純な話にはなりません。
そもそもナフサ価格は中東情勢に強く連動しています。
ナフサが不足し、あるいは高騰すれば、企業はプラスチック原料、合成ゴム、化学繊維、合成樹脂などの調達に支障をきたします。その影響は数週間から数か月の時間差を伴い、食品トレーや包装材の不足・値上げ、医療用チューブや注射器の供給不安、農業用フィルムや肥料資材の価格上昇、さらには洗剤容器など日用品の供給遅延といった形で、私たちの暮らしに静かに、確実に及んでくることになります。
今年4月も多くの製品で値上げが発表されていますが、今後さらなる物価上昇は避けられないとの懸念も高まっています。
50年前の小説「油断!」が描く日本のホルムズ海峡危機
対イラン攻撃の直後(3月初旬)、私どもが主催するWebサイト「思則有備」の2021年の古い記事が、Yahoo!ニュースなどで引用され話題になりました。
秋山 進さんの連載企画「リスクの本棚〜リスクに関わる名著とともに考える」で取り上げた堺屋太一著『油断!』です。
小説では、突如発生したホルムズ海峡危機によって、エネルギーの8割以上を中東に依存する日本で原油の輸入が困難になった状況をシミュレートし、平時に準備をせず、状況が悪化してから慌てふためく政府や企業、翻弄される国民の姿を描き、資源危機よりも“備え”の重要さを訴えています。
2026年2月28日に始まった米軍・イスラエルによるイラン攻撃以降、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となったことで、この本が、50年ぶりに再注目されたという訳です。
このたび著者の秋山進さんから加筆をいただき再掲することになりました。この機会にぜひお読みください。
★思則有備 > 油断!は、過去の話か、現在の話か。有事に必要な自助の精神。堺屋太一『 油断! 』(1975年)【リスクの本棚(連載第9回)】
⇒ https://shisokuyubi.com/special-column/the_risk_bookshelf_09
★YouTube > 秋山進のリスクの本棚】油断!は、過去の話か、現在の話か。有事に必要な自助の精神。堺屋太一『油断!』(1975年)【聞き流し】
原油“国家備蓄”というエネルギー安全保障システム
日本の石油備蓄(IEA備蓄)は、経済産業省(資源エネルギー庁)が3月23日の記者会見で公表した国内需要換算数値では、3月20日時点で、国家備蓄(約146日分)、民間備蓄(約89日分)、産油国共同備蓄(約6日分)の合計「241日分」でした。
読売新聞などによると、3月22日時点では「残り238日分」だそうで、すると、備蓄の残りは8か月分を切っています。
政府は「直ちに節約を要請する段階ではない」と説明するも、この数値が危機の長期化に耐えうることを保証するものでもない、とも述べました。
また、ここのところ、週末ごとに出されるトランプ大統領の発言により、原油価格や株価先物などの市場は振り回され続けています。
そうした報道によっては、イラン問題が短期的に収束するとの楽観論が示されたり、長期化への懸念も取り沙汰もされたりと、正直なところ状況は依然として混乱したままで、解決や停戦の糸口すら見えません。
情勢が見えないなか、備蓄が「8か月なら安心」と考えるか、「8か月しかない」と捉えるのか…。どうでしょうか。
さて、いま話題の石油備蓄というのは、「国際エネルギー機関(IEA)」の加盟国らが、有事に備え義務づけられている石油備蓄で、義務として各国は自国の石油輸入量の90日分以上を備蓄しなさい、となっているものです。
これは1970年代の国際的な危機である「オイルショック」を教訓に制度化されたもので、単なる自国の防衛システムではなく、国際連携によるエネルギー安全保障の仕組みの一つとなる訳です。
ただ、原油のほぼ100%を輸入に頼る日本は、主要国で最もホルムズ海峡への依存が高い国となるため、政府は「過剰でもよいから備えよう」という方針を取り、国際義務の90日を超える備蓄をしているのです。
“油断!”せず“備えよ”の国家危機管理政策の一端が垣間見えますね。
原油の非常輸送網(迂回ルート)という安全システム
1973年の第四次中東戦争(第一次オイルショック)では、中東諸国(OAPEC)らがイスラエル支援国(米国・日本など)に石油の禁輸・減産を実施しました。
これを受けて日本は、トイレットペーパー騒動など物資不足が深刻化し、景気が急速に後退することになり、戦後から続いた高度経済成長の好景気が終焉を迎えることになりました。
その後、1979年のイラン革命(第二次オイルショック)とイラン・イラク戦争(1980年〜1988年)では、石油輸出を絶つため、両国同士が互いにペルシャ湾(ホルムズ海峡)を航行するタンカーを攻撃(タンカー戦争)しました。
これら過去のエネルギー危機から、サウジアラビアは、ホルムズ海峡が危機となった際の原油の代替輸送網を単独で整備することにしました。
それは、ペルシャ湾側サウジアラビアの東部油田地帯(アブカイク)から紅海側ヤンブー港まで、サウジの東西陸路(約1,200キロ)を結ぶ原油パイプラインを敷設させ、原油をホルムズ海峡を迂回させようという壮大な代替ルート網(紅海ルート)の構築です。
3月28日のニュースで「ホルムズ海峡を通らない代替ルートを利用した原油タンカーが初めて日本に到着」したというのは、これにあたります。
ただ問題は、その代替ルートの供給能力です。
世界の海上原油輸送量は、約2,000万バレル/日のペルシャ湾(ホルムズ海峡)に対し、紅海は約400〜500万バレル/日と約4分の1にすぎません。
そのうち、紅海ルートで日本が輸入できる原油は、最大でも一日50万〜100万バレル程度と考えられるのだそうで、日本の平常時の原油消費量約300〜350万バレル/日にまったく足りていないのです。
この代替ルートは、あくまでも短期的な“一時しのぎ”のものとなっているようで、いうなれば、日本の原油代替網には限界があるということなのです。
尚、スエズ運河を通って日本へ行く(西回り)ことは地理的に可能にみえますが、航海距離は通常ルートの2.5〜3倍となり、実用面やコスト面(船腹・燃料・保険)を考えると破綻するレベルだそうで、ほぼ実現は不可能とみられています。
フーシ派参戦による「二正面封鎖」で“備蓄”も意味を失う?
さらに問題なのは、3月29日、イラン支持のフーシ派が事実上の参戦を表明したことです。
フーシ派はイエメン西岸を実効支配する武装勢力であり、その動きによって、紅海ルートで必ず通過しなければならない「バブ・エル・マンデブ海峡」が、封鎖の危機にさらされる事態が現実味を帯びてきました。
中東から日本への原油輸送網は、基本的に二つしかありません。
ひとつはペルシャ湾からホルムズ海峡を通るルート、もうひとつは紅海を経由するルートです。
しかし後者の紅海ルートは、輸送量が限られており、あくまでペルシャ湾ルートを補完する短期的な「迂回路」として位置付けられてきました。
今回のフーシ派の参戦表明は、その限られた紅海ルートへ輸送を切り替えたまさにそのタイミングで、公表されたかのように映ります。
結果として、イランが事実上影響力を行使する「ホルムズ海峡(ペルシャ湾ルート)」と、フーシ派が実効支配する「バブ・エル・マンデブ海峡(紅海ルート)」という、二つのチョークポイントを同時に突かれる形となりました。
唯一残された逃げ道を塞がれる将棋の「詰み」のような状況であり、この展開には、軍事大国イランのしたたかな戦略性を強く感じざるを得ません。
ここで見落としてはならないのは、物流そのものが詰まってしまえば、「備蓄」があっても意味を失うという点です。
原油は存在していても、運ぶ手段が途絶えれば、社会や経済を支える機能を果たせなくなります。
早期の外交交渉による政治的解決を願わずにはいられませんが、現時点でアメリカとイランが提示している停戦条件は、残念ながらまったく噛み合っていないように見えます。
どちらかが譲歩しない限り、事態は収束しないでしょう。
まるで、互いに限界を探る「我慢比べ」が続いているかのようです。
《 執筆者 》
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらいひろや)
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