おはようございます。
本日で、2011年3月11日の東日本大震災(M9.1)と福島第一原発事故から 14年(5275日)です。
2024年1月1日の令和6年能登半島地震(M7.6)から1年7ヶ月(595日)です。
平成7年(1995年)1月17日の阪神・淡路大震災(死者6,437人、重軽傷者43,792人)から 30年 です。
蒙霧升降(もうむしょうごう / ふかききりまとう)
立秋(8月7日)を過ぎて、“初秋”の時季です。
昨日8月17日(日曜日)は、七十二候(1年を72に分けた暦)の「 蒙霧升降(もうむしょうごう / ふかききりまとう)」を迎え、旧歴の立秋の末候(8月中旬)となりました。
「蒙霧(もうむ)」は、もうもうと立ちこめる深く濃い霧の意味となります。
「蒙霧升降」は七十二候のなかでも特に幻想的な候で、夏の湿気が残るなかで、夜間の気温が下がり、朝方に濃霧が発生しやすくなる時期です。
とくに水辺や森林、山間部では、朝霧が立ち込める光景が見られ、季節の移ろいを感じさせます。
《 春霞かすみていにし雁がねは
今ぞ鳴くなる秋霧の上に 》詠み人知らず(*古今和歌集)
霧は、大気中の水分が飽和状態になり、水蒸気が細かい水滴に変わって空気中に漂っている状態です。これらの水滴が光を反射したり、吸収したり、散乱させたりすることで、周囲が白くぼやけて見える訳です。
霧は地形や湿度、風の有無など複数の要因が絡み合って生じ、森や水辺に幻想的な風景をもたらします。
山間部では、山を昇る気流の冷却によって、水蒸気が凝結して形成される「山霧(滑昇霧)」、盆地や谷地では、晴れて風が弱い夜に地表が冷却され発生する「放射霧」などや、川筋では、冷たい空気が水温の高い水の上を流れてできる「川霧(蒸発霧)」などが代表的です。
残暑がまだ厳しい季節ですが、霧は秋の始まりを告げる風景であり、朝夕に少しづつ秋の気配を感じさせてくれます。
《 湯の名残り 幾度見るや 霧のもと 》松尾芭蕉(*元禄2(1689)年8月)
《 秋霧や 河原なでしこ りんとして 》小林一茶(*文化元(1804)年秋)
※関連コラム
・大凶作と霧と靄と霞のお話(2025.02.24)
台風が多く発生する8月のお話
これから「夏台風」のシーズンに入ります。
台風シーズンといえば、9月(秋)を思い浮かべますが、実は、台風の発生がいちばん多いのは8月(夏)です。
8月に台風が多く発生する理由は、水蒸気が豊富で地球の回転の影響(コリオリの力)などで台風の発生源となる赤道前線(熱帯収束帯)が北上(北緯20度〜30度辺り)するからだそうです。
これに海面水温の上昇、太平洋高気圧の張り出しなどの影響から、台風の発生に最適な環境が整うことで、この8月は、年間で最も多く台風が発生しやすくなる、といいます。
ただ、台風が“上陸する数”ということになると、8月よりも9月のほうが多くなります。これは秋雨前線や偏西風の影響で、9月の方が、台風が日本に接近しやすくなるため、といいます。
昨年2024年8月8日〜13日にかけて、日本の南海上では、台風5号、6号、7号、8号と、いちどに4つの台風が次々に発生しましたが、そのうち日本に上陸した台風は、台風5号(岩手県に上陸)のみでした。
台風は上陸せずとも、付近に湿った空気を流入させたりして、大荒れの天気をもたらすこともありますが、直接的な影響は上陸したときの方が大きいので、それ故に、有名な台風災害のほとんどは8月ではなく9月に起っています。
・室戸台風(1934年9月21日 / 死者2,702人、負傷者14,994人)
・枕崎台風(1945年9月17日 / 死者2,473人、行方不明者1,283人)
・カスリーン台風(1947年9月8日〜17日 / 死者1,077人、行方不明者853人、負傷者1,547人)
・伊勢湾台風(1959年9月26日 / 死者4,697人、負傷者38,921人)
・台風21号(2018年9月4日 / 関西空港が冠水 死者14人、負傷者980人)
・台風15号(令和元年房総半島台風)(2019年9月9日 / 千葉県などで最大93万戸が停電、復旧に2週間以上)
などの大きな被害が生じた台風は、皆、9月に集中しました。
《 波五寸 減りしと云ひて 満潮の 時を過ぎぬと 云ひて喜ぶ 》丹羽安喜子(1892〜1960)
※関連記事
・丹羽安喜子と室戸台風の高潮災害(2016.08.22)
不規則な動きをする8月の「夏台風」
台風は例年6月頃から発生数が増え始め、7月から9月にかけてが最盛期とされています。
なかでも、気象庁の統計(1991〜2020年の平均値)によると、8月は台風の発生数が最も多い月であり、まさに“夏台風”のピークといえる時期です。
この時期の台風は、海水温が高いために勢力が強まりやすい一方で、進路が不規則になる「迷走型」台風が多くなる傾向があります。これは、夏特有の複雑な気象条件が重なり合うことで生じる現象なのだそうです。
夏季には、太平洋高気圧が日本の南側に勢力を広げる傾向があります。台風はこの高気圧の縁を回るようにして進むため、高気圧の位置や強さが台風の進路に大きく影響します。
しかし、この高気圧は日々刻々と変化するため、台風の進路もそれに応じて変化し、予測が難しくなるのです。
また通常、台風は偏西風に乗って北東方向へと進みますが、夏季には偏西風が北へ押し上げられて勢力を弱めるため、台風が偏西風に乗ることが少なくなります。その結果、台風は進路を定めにくくなり、停滞したり、ループ状の動きを見せたり、突如進路を変更することもあります。
そして、8月は台風の発生数が多いため、複数の台風が同時に存在することも珍しくありません。
このような状況下では、「藤原の効果(Fujiwhara Effect)」と呼ばれる現象が発生することがあります。
これは、2つの台風が近接した際に互いの循環に影響を及ぼし合い、複雑な回転運動をしながら進路が大きく変化するというものです。この効果が現れると、台風の動きはさらに予測困難となり、進路予測にも大きな不確実性が生じます。
さらに、上空の風が弱いことも台風の速度を遅くする要因となります。風の流れが弱いと、台風は長時間にわたって同じ地域に停滞することがあり、その結果として大雨や暴風が長引くことになります。これにより、浸水や土砂災害などのリスクが高まり、被害が拡大する恐れもあります。
※気象庁 > 台風の発生数 (1951年〜2025年)
https://www.data.jma.go.jp/typhoon/statistics/generation/generation.html
※1900年から2014年における日本の台風上陸数(「天気」1963.11)
https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2016/2016_11_0003.pdf
9月とは異なる「8月台風」の脅威
上陸して直接的な被害が生じる9月の台風は脅威ですが、進路が読みにくい8月の台風も、十分な警戒が必要な台風であることは変わりません。
通常、台風はかなり高い精度で進路予測が可能なため、事前にある程度の対策を講じることができます。しかし、8月の台風は複数の気象要因が複雑に絡み合うことで進路や動きが不規則になりやすく、予想外のコースを辿ることで、それだけ災害リスクが高まる可能性があります。
いずれにしても、台風が接近する際には、最新の気象情報に注意を払い、お住まいの地域が影響を受ける可能性がある場合は、早めの備えを心がけましょう。
不規則な動きをする夏台風こそ、油断せず慎重な対応が求められます。
台風の異名…「ノロノロ台風」「迷走台風」
余談ですが、進路予報が難しく複雑な動きをする台風のことを、時に「迷走台風」などと呼ぶことがあります。
昨年(2024年)8月、“ノロノロ台風”や”迷走台風”との異名で報道された台風10号(サンサン)が記憶に新しいところです。
※関連コラム
・ノロノロ「台風10号」と「二百十日」(2024.09.02)
では、過去にマスコミをにぎわした8月の台風の異名を見てみると…、
なかなか動かない「ノロノロ台風」をはじめ、
動きが不規則すぎる「迷走台風」や「よろめき台風」(1960年台風14号など)、
今来た道を引き返す「出戻り台風」「Uターン台風」(1960年台風14号、1985年台風12号など)、
急に時速60キロくらいの速さで走り出す「韋駄天台風(1953年の台風13号)」、
二つ以上の台風が一緒に動く「アベック台風」「双子台風」(1965年の台風24号と25号)、
そして「三つ子台風」(2023年8月の台風9号・10号・11号)
…とマスコミはいろいろな俗称を付けて報道しました。
「出戻り」に「アベック」…、とは、ずいぶんと昭和っぽさを感じる命名ですが、台風の渾名には、その時代の社会的感性やら流行といった“時代感”が色濃く反映されているようですね。
《 執筆者 》
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらいひろや)
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