おはようございます。
本日で、2011年3月11日の東日本大震災(M9.1)と福島第一原発事故から 14年(5233日)です。
2024年1月1日の令和6年能登半島地震(M7.6)から1年半(553日)です。
平成7年(1995年)1月17日の阪神・淡路大震災(死者6,437人、重軽傷者43,792人)から 30年 です。
本日(7月7日)は、二十四節気「小暑(しょうしょ)」を迎えました。
今年は、すでに各地で真夏日(30℃)や猛暑日(35℃)が記録されていますが、暦の上では、これから大暑(7月23日頃)にかけて、梅雨明けと、本格的な夏の暑さが始まる頃で、この頃から徐々に暑さも増していく時期となります。
引き続き、熱中症にお気を付け下さい!
トカラ群発地震(トカラ列島近海の群発地震)
鹿児島県のはるか南、奄美大島と屋久島の中間に浮かぶ小さな島々、トカラ列島。
先月の2025年6月21日(土曜日)から、トカラ列島近海での群発地震が大きな話題となっています。
有感地震は、発生から2週間で1300回に増え、7月3日(木曜日)には、今回の群発地震の活動として最大の揺れとなる震度6弱(M5.5 深さ20km)が発生しました。
発生から7月4日(金曜日)午前中までの14日間で、震度6弱が1回、震度5弱が3回、震度4が26回、震度3が87回、震度2が279回、震度1は784回も発生しています。
1919年以降の観測記録でも、鹿児島県十島村で震度6弱の揺れが観測されたのは、これが初めてでした。
特に今年に入ってSNS上で話題となっていた「7月5日に日本で大地震が起きる」という予言と重ね合わせるようにして、今回の地震活動に不安を抱く声が広がりました。さらに、南海トラフ巨大地震との関連を疑う投稿も見られ、“トカラの法則”などというキーワードとともに憶測や噂が加速度的に拡散しました。
予知夢については何とも言えませんが、科学的(地震学的)には、南海トラフ巨大地震とトカラ列島近海地震は、明確に異なる地震メカニズムで発生領域も異なることから、直接的な関係はない(地学的な連動性は低い)そうです。
過去1500年間で、判明しているだけでも、東海地震(駿河トラフの巨大地震)7回、南海地震・東南海地震(南海トラフ巨大地震)は、9回ほど発生したことが分っていますが、過去発生したトカラ列島の地震や大きな地震で、これらの南海トラフ巨大地震が“誘発されたことは無い”そうです。
※関連コラム
・フェイクニュースがのさばる理由 「7月5日の予知夢」のお話(2025.06.23)
・南海トラフ地震とスマトラ島沖地震のお話(2024.12.23)
・「世界津波の日」の物語…安政東海地震と安政南海地震の解説(2023.11.06)
トカラ列島は、群発地震の多発地帯
このトカラ列島が位置するのは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下へ沈み込むプレート境界で、琉球海溝の沈み込み帯に位置しており、地球の表面がゆっくりと、しかし確実に動き続ける「地殻変動の最前線」にあります。
そのため、トカラ列島は、海底断層や火山性地形が密集する世界有数の火山帯の一角をなしており、噴煙を上げる火山とともに、地震の多発地帯としても知られています。
ただ、トカラ列島は、琉球王国と薩摩藩の境界地域に位置しており、文献に乏しく、古い地震記録が断片的にしかありません。よくわかっていないのです。
考古学的には、トカラ列島の海岸線の段丘や津波石などの痕跡や、火山活動と連動した海底地すべり(津波の発生源)の痕跡も見つかっており、正確な年代などは分っていませんが、前期更新世(約80万年前)以降の古くから、繰り返し大きな津波や地震があったことが分っています。
古くからこの地域では大小さまざまな地震が繰り返されてきたのですね。
そして、今回のような群発地震もたびたび発生しています。
一般的に、トカラ列島周辺の群発地震は、1968年、1972年、1975年、1981年、2000年、2021年(26日間で308回の有感地震、震度5強も観測)、2023年(15日間で346回)、今年2025年(2週間超で1300回)にも発生しました。
恐らく、ネットで調べると、2000年以前の昔の記録がほとんど見つからないと思いますが、これは、現在のような広域で細かい観測体制が整う前の時代のため、当時は詳細な観測記録が無かったからです。(1990年代くらいまで、離島地域等での震度1〜3程度の地震記録は残ってないかもしれません)
しかしながら、今年の悪石島・小宝島周辺のトカラ列島群発地震は、過去に例がない異常な地震のようです。
2021年や2023年の際の群発地震では、当初は、数日間で徐々に活動が日に日に増していくものの、エネルギーが解放されると活動が落ち着いて、そのうち収束するものでしたが、
今回は、二週間以上たっても活動は落ち着かずに、有感地震が継続して増え続けており、過去にない長期化の様相を呈しています。
少なくとも1995年以降の観測史上の30年間で有感地震の数は最多、恐らく過去60年間でも最多記録となりました。
これだけ活発な活動が継続しているのは、やはり過去にみられた通常の地震活動とは“異なったメカニズムの地震”ではないかと専門家はみており、まだはっきりしたことは分かっていないものの、それは火山性の地震活動ではないか、という見解で一致しているようです。
群発地震はいつ終わるのか?
トカラ列島で続く地震活動に、島民の警戒感が高まっており、「揺れで眠れない」といった不安を訴える人々が多く出ました。
7月4日からは、鹿児島県十島村の悪石島と小宝島の住民らの島外避難が始まっています。できるだけ早くに収束することをお祈りします。
さて、過去、ほか地域で発生した群発地震では、
・伊東群発地震(1933年2月13日〜5月頃 *3か月続いた)
・長野県 松代群発地震(1965年〜1970年 *約5年)
・伊東沖群発地震(1978年頃〜1989年7月13日に伊東沖で海底噴火 *約11年(間欠的))
・三宅島噴火と伊豆諸島北部群発地震(2000年6月26日〜2か月半で4346回の有感地震が発生、うち震度6弱が6回、震度5強が7回、震度5弱が17回、2000年7月8日に三宅島噴火)
・能登半島群発地震(2020年12月頃〜2024年1月1日にM7.6 *継続中)
…などが知られていますが、これらは、いきなり始まり(次第に地震が増えていき)、いきなり終わる(次第に沈静化し終息)ものです。
具体的に、いつまで群発地震が続くかは、今の科学では予測できません。
今回のトカラ列島の群発地震については、7月2日(水曜日)の気象庁緊急記者会見では
「いつ終わるということは申し上げることができない」
と述べられています。
また、震度6弱の地震の発生を受けて7月4日(金曜日)に政府・地震調査委員会(平田直委員長)は、
「周辺の地震活動は活発な期間と落ち着いた期間を繰り返しながら継続することが多く、活動の収束時期を特定することが難しい」
と見解を述べています。
鹿児島大学の八木原寛准教授や東北大学の遠田晋次教授など複数の専門家のお話によると、
・過去と異なり、今回は震源の位置が徐々に周囲へ広がる傾向があることから、海底下で水などの「流体」が上昇し、断層を滑りやすくしている可能性がある
・トカラ列島近海の地下深くにマグマのような圧力を持った「流体」が入り込み、地殻を押し広げたことで、断層が刺激を受け、繰り返し地震を起こしている
と、いずれも地下の「流体」による地震活動という見解です。
実は、1965年の松代群発地震でも“流体”の上昇による地震発生の仮説が話題となりましたが、
昨年(2024年1月1日)の能登半島地震で「マントル起源の深部の流体が上昇することで地震が誘発される」という新しい地震発生のメカニズムが実証されることになりました。
この能登半島の群発地震も、2000年頃から約5年も活動が続いていますが、沈静化の兆しも見せつつも、まだ完全な終息には至っていません。
松代群発地震(5年続いた群発地震、1日で震度1以上が585回も発生)
“群発地震”というと1965年8月3日から1970年6月5日(*終息宣言)にかけて長野県松代町で発生した「松代群発地震」が、もっとも有名です。
松代町では、5年間にわたって震度1以上の有感地震が62,826回も発生しました。転居する者が続出するなど、地方自治が立ち行かなくなる事態にまで発展し、専門家による地震予知体制「地震予知連絡会」が発足する契機となりました。
とくに1966年4月17日には、1日で地震が6,704回、うち震度1以上の有感地震は585回(約2.5分に1回)も発生しています。
1日に同じ場所で震度1以上が500回以上も発生するのは、日本の地震観測史上でも極めて異常な数字で、世界的にも特筆すべき地震記録です。
1966年10月9日には、気象庁は「今後も地震活動が続く可能性がある」として、初の「地震予報」を発表しました。
松代群発地震では、日を追うごとに増える地震と、昼夜ひっきりなしに続く揺れに悩まされて、不眠やノイローゼとなる者が続出し、相当数の住民が転居や疎開を余儀なくされました。
住民の転居や生活基盤の崩壊が、地方自治の機能不全を引き起こし、国を動かして地震予知体制の整備へとつながることになりました。
当時の町長の中村兼治郎氏は、佐藤栄作首相に直接「金や物よりも学問がほしい」と訴え、地震予知の必要性を国に陳情します。
そして、1966年に、地震予知連絡会の前身「北信地域地殻活動情報連絡会」が発足し、その後、1969年に「地震予知連絡会」が正式に発足しました。
松城群発地震の原因は、地下水の移動(水噴火説)と言って、今回のトカラ列島群発地震や能登半島群発地震と同じ「流体」を原因とするのが有力説のようです。
今回のトカラ列島は活発な火山地帯ですから、地下深部からマグマ的流体が上昇している可能性が指摘され、火山性の群発地震と考えられています。
ただ「噴火するまで続くのか?」という問いに対しては、マグマの上昇が必ず噴火につながるとは言えないので、専門家の間でも明確な答えは出ていないようです。
《 執筆者 》
SEI SHOP(セイショップ)総合プロデューサー
平井敬也(ひらいひろや)
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