スーパーやコンビニは品薄になり、電気が止まって冷蔵庫も使えない。そんな状況でも、家族の食事を確保できるものでしょうか。
実は、スーパーやコンビニで普段から買える食品の中にも、災害時に役立つ非常食となるものが数多く存在します。いざという時に備えて、今からでも食料を準備しておきましょう。
本記事では、身近なお店で手に入る非常食10種類と、その選び方のポイントを解説します。栄養バランスや必要な備蓄量についても紹介するので、非常食の準備をこれから始める方はぜひ参考にしてください。
スーパーやコンビニで購入できる!非常食になる食品11選

缶詰
缶詰は長期保存が可能で、開封してすぐに食べられるため、非常食として利用される定番食材の一つとして知られています。サバの味噌煮やツナなどの水産缶詰、フルーツが入った果実缶詰、トマトなど野菜缶詰、コンビーフやうずらの卵などの畜肉缶詰、スープやソース類の入った調理缶詰のほか、最近では、おでん、カレー、ハンバーグなどのおかず(副食)がそのまま入った缶詰製品も販売されています。
味や種類も豊富で、調理せずにそのまま食べることも、簡単な調理で温かい料理にアレンジしたりできるのも大きな特徴です。現在では、缶切りなしで開けられるプルトップタイプの商品がほとんどで、災害時でも手軽に食事を準備できます。
市販の缶詰の多くは常温保存で、製造から2~3年程度の賞味期限が設定されており、なかには災害用の備蓄を目的とした非常用缶詰として5年を超える賞味期限の製品も販売されています。
参考:特集1 非常食(2):農林水産省
関連記事:非常食におすすめの美味しい缶詰10選|被災時だからこそ気をつけたい選び方のポイントの紹介!
レトルト食品
レトルト食品(レトルトパウチ食品ともいう)は災害時の心強い味方です。カレーや丼物、パスタソースなど種類が豊富で、常温で長期保存できるのが特徴です。レトルト(高圧釜)は加圧加熱殺菌された加工食品のことをいい、パウチ(袋状)、トレー(成型容器)といったコンパクトな容器に詰められていますので、収納場所をとらずに済みます。また最近では、温めなくてもそのまま食べられる商品も増えており、 停電時でも手軽に食事が摂れるのも魅力です。
レトルト食品の多くは1~2年程度の賞味期限が設定されています。
インスタント食品
インスタント食品は、お湯を加えるなどの簡単な調理作業のみで、短時間で食べられるように加工された食品のことをいいます。常温保存でき、賞味期限が長く、調理も簡単なため非常食として活用できます。特にみそ汁やスープ類、フリーズドライの具材は、お湯を注ぐだけで手軽に食べられます。普段の食事でも使いやすいため、使った分を買い足していく「ローリングストック法(循環備蓄)」での備蓄におすすめです。
賞味期限は製品や、その包装方法などによって大きく異なりますが、一般的には製造から数ヶ月(インスタント味噌汁)~1年程度(粉末スープ)の設定が多いようです。
カップラーメン
お手頃価格で手軽に食べられるカップラーメンも、非常食として活用できます。プラスチック容器に入っており、お湯があれば3分程度ですぐに食べられ、水しかない場合でも15分程度待てば食べられるため、電気やガスが使えないときにも役立ちます。保存期間も長く、災害時の備えとして最適です。カップラーメンの賞味期限は、製造日から半年(6ヶ月)程度が主流のようです。
参考:警視庁|水でカップ麺を作ってみた
乾麺
主食の小麦粉を原料とする乾麺には、素麺、ラーメン、うどん、そば、パスタなどの種類があります。乾麺は、その名の通り水分がほとんど含まれない乾燥食材なので、常温で長期保存できることから、非常食の候補となります。ただし、調理には茹でるために多めの水とお湯と燃料が必要です。非常時に備えて、水や熱源(燃料)となるカセットコンロに、調理用の鍋なども一緒に用意しておくとよいでしょう。
乾麺の種類により賞味期限は異なりますが、概ね、1年~3年の賞味期限となります。
乾物
水分を抜き、乾燥させることで保存性を高め、旨みをギュッと閉じ込めた伝統食材が、乾物(干物)です。一般的には、海藻や野菜を乾燥させた場合を「乾物」、魚介類を乾燥させたものを「干物」と呼ぶようです。切り干し大根、わかめ、乾燥昆布、干し椎茸、干し芋、乾燥豆、海苔(のり)など乾物の食材はたくさんの種類があります。軽量でコンパクトながら栄養価が高いのが特徴で、特にビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれる食材もあるため、災害時の栄養補給に役立ちます。水で戻して食べたり、他の料理に加えたりと使い方も自由自在です。
賞味期限は食材により大きく異なりますが、数日程度しか保存できないものから、数ヶ月~1年程度のものまで様々です。
参考:災害時に備えた食品ストックガイド(3):農林水産省
野菜ジュース
生鮮食品が手に入りにくい災害時には、野菜ジュースが活躍します。缶タイプなら長期保存が可能で、食物繊維やビタミンなどの栄養素を手軽に補給できるとされています。開封後は傷みやすいため、すぐに飲み切れる小容量タイプを選ぶのがおすすめです。ただ、市販の野菜ジュースの多くには、野菜特有の青臭さやエグ味を消すために甘味が加えられています。糖質や野菜由来の糖分が多く含まれており、糖質量やカロリーが意外に高く、飲み過ぎに注意が必要です。
賞味期限は数ヶ月から1年以上のものまで様々で、とくに、缶入りで非常時の備蓄用として販売されている製品には5年以上の賞味期限が設定されているものもあります。
参考:災害時に備えた食品ストックガイド(3):農林水産省
豆乳
良質なタンパク質とミネラルが豊富な豆乳も、非常食として活用できます。プレーン以外にも抹茶、コーヒー、フルーツ味など種類も豊富で、さまざまな味を楽しめる点がおすすめです。野菜ジュースと同様に、開封後は傷みやすいため、すぐに飲み切れる小容量パックを選びましょう。未開封の豆乳は常温で約6ヶ月ほどが賞味期限ですが、開封後は品質が劣化するため、一般的な目安として、冷蔵庫で3~4日程度で飲み切るのが良いとされているようです。
参考:災害時にそなえる食品ストックガイド 単身者向け | 食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT
魚肉ソーセージ
魚肉ソーセージは常温で長期保存でき、手軽に良質なタンパク質が摂取できるため、非常食としての活用がおすすめです。調理不要でそのまま食べられる上、個包装タイプなら手を使わずに直接口から食べられます。災害時は水が貴重なため、手を洗う水も節約できる点も魅力です。魚肉ソーセージは、包装フィルムを開封しなければ、常温保存で製造後3ヶ月~5ヶ月程度の賞味期限の設定が一般的のようです。
参考:災害時にそなえる食品ストックガイド 単身者向け | 食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT
お菓子
チョコレートやビスケット、飴などのお菓子も、非常食の備えとして大切です。とくに甘いお菓子の糖分には、脳のエネルギー源となるブドウ糖が含まれており、素早くエネルギーを補給できるだけでなく、災害時の精神的なストレスを和らげる効果も期待できます。また、大人のように我慢のできない小さな子どもの備蓄品としても役立ちます。なかでも、羊羹(ようかん)やチョコレートは高カロリーで腹持ちも良く、しかも常温で日持ちすることから、非常食としてもおすすめです。
ただ、あくまでもお菓子であり、食事の代わりにはなりません。お菓子は高カロリーなものの、ビタミンやミネラルなどの栄養素はほとんど含まれていません。
数日程度の一時しのぎの食事にはなりますが、栄養価がほとんど期待できず、満足感も低いため、長期にまたがる避難生活での日々の食事にはあまり向きません。デザートとして備えるのが良いでしょう。
お菓子の賞味期限は種類によって異なり、長いもので1年~2年程度、短いものは数日~数ヶ月程度と様々ですが、缶入りで非常時の備蓄用として販売されている製品には5年以上の賞味期限が設定されているものもあります。
参考:災害時にそなえる食品ストックガイド 単身者向け | 食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT
サプリメント
災害時には、保管・管理・調理・配給がしやすく、しかも手軽にすぐエネルギー補給ができるという理由から、おにぎり、パン(菓子パン)、カップ麺、クラッカー(クッキーや菓子類)などの炭水化物を中心とした食生活となります。そのため新鮮な肉や野菜、乳製品など、たんぱく質、ビタミン、ミネラルといった他の栄養素が不足します。味や好みも大切ですが、とくに長期化する避難生活では、体力や免疫力をつけるために、栄養バランスも考える必要があります。栄養が偏らないよう、できるだけ多くの食材や商品をバランスよく備蓄することが求められます。
サプリメントは、炭水化物や糖分などに偏りがちな避難生活で不足するビタミンやミネラルなどの栄養素を効率的に補うことができます。
市販のサプリメント類は、法律上は食品(加工食品)の分類となり、食事だけでは足りない栄養を補うことを目的とする製品です。その賞味期限は、常温保存で未開封の場合に1年~2年程度に設定されているのがほとんどのようです。
非常食になる食品の特徴

不足しやすい栄養素を摂れる
災害時は普段のような食事を取ることが難しくなります。特に野菜や果物、魚介類などの生鮮食品が手に入りにくい状況では、必要な栄養素が不足しやすく、疲労感や頭痛、めまい、不眠などの体調不良を引き起こすことがあります。例えば、東日本大震災の際、宮城県内の避難所では、必要な栄養素の摂取が大幅に不足していたことが報告されています。具体的には、エネルギーは1日の目標2,000kcalに対して平均1,546kcal、たんぱく質は目標55gに対して平均44.9g、ビタミンCは目標100mgに対して平均32mgと、いずれも目標値を大きく下回っていました。※1
避難所生活では以下の栄養素が不足しやすく、厚生労働省※2は1日あたり以下の摂取量を目安として示しています。
- エネルギー:1,800~2,200kcal
- たんぱく質:55g以上
- ビタミンB1:9mg以上
- ビタミンB2:0mg以上
- ビタミンC:80mg以上
参考※1:朝日新聞|避難所、栄養足りず ビタミンCは全施設で 宮城県調査
参考※2:厚生労働省『避難所における食事の提供に係る適切な栄養管理の実施について』
常温で保存できる
災害時は停電で冷蔵庫が使えなくなる可能性が高く、食品の保管に困ることがあります。そのため、非常食は常温で保存できることが重要です。冷蔵・冷凍が必要な食品は、電気が復旧するまで保存できないため、非常食には向いていません。調理不要で食べられる
災害時は電気・ガス・水道などのライフラインが止まることを想定しておく必要があります。そのため、非常食は加熱や調理が不要で、そのまま食べられるものを中心に選びましょう。どうしても温めが必要な場合でも、お湯を注ぐだけで食べられるなど、最小限の手間で済むものがおすすめです。
長期保存できる
災害はいつ発生するか予測できません。そのため、非常食は半年~1年以上の長期保存が可能な食品を選ぶことが大切です。賞味期限が1か月や2か月と短い食品は、頻繁な買い替えが必要になり、管理が煩雑になってしまいます。定期的なチェックは必要ですが、できるだけ長期保存が可能な食品を選ぶようにしましょう。
家族の食べ慣れている食品を選ぶことがおすすめ

例えば、子どもが普段から好んで食べているカレーのレトルト食品や、家族で馴染みのある缶詰を選ぶことで、非常時でも「いつもの味」を楽しめます。このように、日常的に食べている食品を非常食として備えることで、心理的な負担を軽減し、少しでも安心して過ごせる環境を整えることが可能です。
参考:長期保存ができる最強のおいしい備蓄食品 | SEI SHOP(セイショップ)
備蓄する非常食の量はどのくらい?
災害発生から政府や行政の支援物資などが届くまでに約3日(首都直下地震の場合)~1週間(南海トラフ巨大地震の場合)かかると想定されているため、非常食は最低でも3日分、できれば1週間分を備蓄しておくことが推奨されています。大規模な災害の場合は支援物資の到着までさらに時間がかかる可能性もあるため、可能であればもっと多くの備蓄を目指したいものです。大人1人1日あたりの備蓄目安量は以下の通りです。
- 飲料水:3L
- ごはん(アルファ米):3食分
- 缶詰:2~3缶
- レトルト・インスタント食品:2~3種類
- お菓子:適量
参考:農林水産省|特集1 非常食(2)
参考:山北町『災害時の備え〜非常食』
食料以外で災害時にスーパーから消えるもの

そのため、ほとんどの場合、発災後にあわてて備蓄するのはすでに手遅れであり、災害に備えるためには、発災前の日常の段階で、できるだけ多くの食料や物資を備蓄しておく必要があります。
以下の物資は、スーパーやドラッグストアなどから品薄になることが予想されるため、事前に備えておくことが大切です。
- トイレットペーパー
- ティッシュ
- 紙おむつ
- 生理用品
- 乾電池
- カイロ
- マスク
- 常備薬
まとめ

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