お米は日本人の主食であり、災害時にも欠かせない食材です。日常生活から非常時まで、おにぎりを賢く活用する方法を学びましょう。
おにぎりの常温保存の目安時間と食中毒について

自分で握った場合
手作りのおにぎりやお弁当は温度や湿度の影響を受けやすくなります。菌の増殖による傷みやすさは、使っている食材の水気や季節(夏・冬)などによっても異なりますが、常温で放置すると品質が劣化していくため、常温保存はなるべく控えるようにしましょう。とくに急激な気温上昇が予想される夏場は菌が増殖しやすくなります。食中毒を予防するため、作った料理はできるだけ早く食べましょう。
政府広報オンライン※1によると、食中毒の主な原因は以下となります。
- 腸管出血性大腸菌(O157やO111など)
- カンピロバクター
- サルモネラ属菌
- セレウス菌
- 黄色ブドウ球菌
- ウエルシュ菌
- ノロウイルス
- 寄生虫(アニサキス)
一方、ウイルスが原因となる食中毒は、冬場(11月~3月)に多く発生します。このように、食中毒は季節を問わず発生する可能性があります。一年を通して、食中毒予防を心がけることが大切です。
なお、具材をきちんと過熱し冷ましてから握ったり、保存方法も、常温保存を避けて冷蔵庫や保冷剤を使って保管するといった工夫で、食中毒のリスクを軽減できます。
ただし、一般に、街で市販される弁当屋の多くも、消費期限(賞味期限)を調理後約2時間程度に設定しているケースがほとんどです。手作りのおにぎりやお弁当は日持ちしないため、常温で何時間も放置せず、早めに食べるようにしましょう。
参考:※1食中毒予防の原則と6つのポイント | 政府広報オンライン
コンビニで購入した場合
日本経済新聞※2の記事によるとコンビニではフードロス対策として、おにぎりの製造方法を見直したことで消費期限が伸びたことが話題になりました。- ローソン:手巻きおにぎり5品の消費期限を6時間延長
- セブンイレブン:一部の手巻きおにぎりを対象に、消費期限を従来の約18時間から約24時間まで延長
コンビニによって差はあるものの、ローソンでは消費期限が24時間超※3のおにぎりもあるといいます。
参考元:※2日本経済新聞「ローソン、おにぎりの消費期限6時間延長 食品ロス削減」
参考元:※3日本経済新聞「セブンイレブン、おにぎりの消費期限延長 24時間超に」
また、日本調理科学会大会研究発表要旨集の講演内容によると、コンビニのおにぎりの消費期限は、味と保存性の点から27時間前後。※4とも言われているようです。
参考元:※4 J-STAGE市販おにぎりと自家製おにぎりの相違について
コンビニで販売されるおにぎりの消費期限や賞味期限は、科学的かつ合理的な根拠に基づいて設定されています。これには、食品の特性に応じた微生物試験や理化学試験、官能検査の結果が考慮されており、製造業者が責任を持って設定しています。※5
消費期限は「安全に食べられる期限」とされており、賞味期限は「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」として設定されています。賞味期限は期限が少し過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。
ただし、消費期限を過ぎた食品を食べる場合は自己責任となります。開封後に匂いや味を確認し、安全に食べられるかどうかを判断することが重要です。特に緊急時にはこのような判断が求められますが、通常は消費期限内に消費することが推奨されます。※6
参考元:※5消費者庁 食品期限表示の設定のためのガイドライン
参考元:※6消費期限と賞味期限:農林水産省
おにぎりが傷むとどうなる?

【傷んでいるおにぎりの特徴】
- カビが生えている
- 黄色っぽい色になっている
- 酸っぱい・発酵した臭いがする異臭がする
- ねばつき・べたつきがある
- 糸を引いている
- 酸味がある
食中毒を防ぐポイント

食品がおにぎりと仮定した場合の具体例として、政府広報オンライン※1の記事から一部抜粋をしています。
- 食品を購入するときに消費期限などを確認する。
- 家庭で保存する場合、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に保つ。
- 詰めすぎると冷気の循環が悪くなるため、冷蔵庫や冷凍庫に食品を詰めすぎない。
- 調理する前に石けんで丁寧に手を洗う。
- 食べる前に石けんで手を洗う。
- 作った料理は、長時間、室温に放置しない。
- 時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる。
- ちょっとでもあやしいと思ったら食べずに捨てる。
災害への備えなら長期保存できるおにぎりがおすすめ

おむすびの状態で長期保存できる非常食も市販されていますが、例えば、賞味期限が3~5年と長期保存できるアルファ米(アルファ化米)を使って、災害時におむすびを握ることもできます。
ただし、アルファ米は、炊きたてごはんを熱風処理で急速乾燥させた加工米のため、焚いた白米の状態に戻すためには、水やお湯を加える手間が生じます。
それでも、日本人の主食のお米ですから、食材として応用範囲も広いため、災害に備えてアルファ米の備蓄とその活用もおすすめです。
尚、通常のお米は生鮮食品の扱いとなるため、賞味期限や消費期限の表示義務がありませんが、精米してから1カ月程度(常温保存)がおいしく食べられる目安と言われています。
まとめ
学校や職場、レジャーなど様々な場面で登場するおにぎり。夏場は特に食中毒に注意する必要があります。常温保存は避け早めに食べるようにしましょう。おにぎりは、災害直後の避難所の炊き出しでも定番メニューとして知られています。アルファ米やフリーズドライ食品(凍結乾燥食品)、インスタント食材といった様々な非常食の製品を備蓄することで、どんな時でも美味しいおむすびを作って食べることもできます。
セイショップでは災害に備えるための非常食を多く取り扱っています。地震や豪雨、台風など災害の多い昨今、非常時の備蓄品の見直しは定期的に行っておきましょう。