災害が起きたとき、食べ物の確保に不安を感じる方は多いでしょう。そんな時に備えて、非常食を準備しておくことが大切です。しかし、どんな食材が非常食としてふさわしいのか、悩む人も多いのではないでしょうか。この記事では、非常食の種類や特徴をわかりやすく紹介します。この記事では、自分や家族に合った非常食の選び方や、備蓄のポイントを紹介します。いざという時に少しでも不安を減らして過ごすために、しっかり備えておきましょう。
非常食の種類
非常食には保存期間や手軽さに応じて、以下のようにさまざまな種類があります。
- アルファ化米
- 非常食パン
- 乾パン
- フリーズドライ食品
- 缶詰
- 水
災害時や非常時には、状況に合わせてこれらを活用することで、効率的に食料を確保することができます。
ここでは、各非常食の特徴や備蓄のポイントを紹介します。
アルファ化米
アルファ米は、炊いたお米を乾燥させ、長期保存が可能な状態にした食品です。水やお湯を加えるだけで簡単に元のお米の状態に戻り、手軽にご飯が食べられるため、災害時に重宝します。
アルファ米は3~7年程度と長期保存が可能で、軽量で持ち運びしやすく調理の手間がほとんどかからない点が非常食としてとても優秀です。白米だけでなく、五目ごはんやチキンライスなど、さまざまな種類があるため、いくつか揃えておくと良いでしょう。
非常食パン
非常食パンは、缶やパウチに密封されて長期保存できるパンで、一般的な食パンとは異なり、3~5年の保存が可能です。普通の食パンは短期間でカビが生えてしまいますが、非常食パンは密封されているため、災害時にも新鮮な状態で食べられます。
開封後すぐに食べられる手軽さと、袋のまま食べることで手が汚れず衛生的に食べられる点が、災害時にもとても便利でしょう。
乾パン
乾パンは、発酵したパンを堅く焼き上げたビスケットで、水分が失われているため軽く、長期保存が可能です。普通のパンは柔らかく保存期間が短いのに対し、乾パンは固く乾燥させているため、5~10年もの長期保存ができます。保存期間が長いため、頻繁な入れ替えが不要な点もありがたいでしょう。
軽量でかさばらず、栄養補給に適しているため、非常時の主食として用意しておくと安心です。備蓄の際は、乾パンの固さを補うために、水や缶詰と一緒に備えておくと、食事の満足感が得やすくなります。
フリーズドライ食品
フリーズドライ食品は食品を急速冷凍し、水分を真空状態で取り除く加工法で作られた保存食品です。この方法により、元の食材の栄養や風味がそのまま残した状態での長期保存が可能です。
とくに、水分をほとんど含まないため、軽く、常温保存ができるうえ、味覚の上でかなり高い満足度が得られるということがポイントです。
水やお湯を加えるだけで簡単に食べられるため、調理の手間がかからない点や、食材の種類が豊富で、スープや主食、デザートなどバラエティに富んでいる点でも、非常食として用意しておきたい食品です。バランスの良い食事ができるよう、主食だけでなく副菜や汁物も一緒に揃えておくと、栄養面でも安心です。
缶詰
非常食として缶詰がおすすめの理由は、長い保存期間と使いやすさです。停電やガスが使えない緊急時でも、缶詰は開けるだけで食べられ、種類も豊富です。
- サバやツナなどの魚系
- ハムやソーセージなどの肉系
- 野菜や果物
- 豆類の缶詰
缶詰は密閉され加熱殺菌されているため、常温保存で3〜5年の賞味期限が一般的です。
また、栄養価が高くバランスが取れているため、災害時に必要なエネルギーや栄養をしっかり補給できます。
水
水を備蓄する目的は、飲むことだけではありません。
被災時には、手洗いや調理、トイレの使用など、さまざまな場面で水が必要になります。
ペットボトルの水には、一般的なミネラルウォーターと長期保存水があります。ミネラルウォーターはおおよそ1〜2年の賞味期限ですが、長期保存水は5〜10年の保存が可能です。これらを適切に備蓄しておけば、災害時に安心して水を活用できるでしょう。
また水に記載されている賞味期限は、内容量を保証するものであり、飲料水としての品質は問題ないため、賞味期限が切れた水も備蓄として置いておくことをお勧めします。
スーパーで購入できる非常食になるもの

非常食は、実はスーパーで簡単に手に入るものが多くあります。
特に普段食べ慣れている食品を非常食として備えておくと、ストレス軽減にもつながります。日頃から利用しているスーパーで買える非常食を揃えておきましょう。
レトルト食品
レトルト食品が非常食として優れている理由は、加熱するだけで普段と同じ味わいを楽しめる点です。災害時には、温かい食事が心の安定につながることがあります。
種類も以下の通り豊富なため、栄養バランスが整えやすい点も魅力でしょう。
非常時でも健康に配慮した食事が取れるのがレトルト食品の大きなメリットです。
野菜
非常食としてまず備蓄するのは、アルファ米やカップ麺類という人も多いかもしれません。エネルギー源になる米や麺は第一に確保しておきたいものですが、栄養バランスが気になるところでしょう。
米・パン・麺という炭水化物ばかりの食事が続くと、ビタミン・ミネラル・食物繊維が不足します。
過去の震災時においても、被災者のビタミン・ミネラル不足が指摘されており、それらを補うためにも栄養バランスの取れた食品を備えておくと良いでしょう。
野菜などの生鮮食品は非常食としてふさわしくないイメージがあるかもしれませんが、実は保存方法によっては長期保存ができる野菜もあります。
野菜の種類 |
保管方法 |
保存可能な期間 |
たまねぎ |
風通しのいいところでネットやカゴに入れて保存 |
3~4週間程度 |
ごぼう |
泥付きのまま新聞紙に包み暗所で保存 |
2週間程度 |
ジャガイモ |
新聞を敷いたダンボールの中に入れて冷暗所で保存
(※あればリンゴを一緒に入れると良い) |
4ヶ月程度 |
かぼちゃ |
カットせずそのまま冷暗所で保存 |
1~2ヶ月程度 |
さつまいも |
キッチンペーパーで包んでから新聞紙で包んで保存 |
6ヶ月程度 |
カップ麺
非常食としてカップ麺はとてもおすすめです。
調理が簡単で、熱湯を注ぐだけで短時間で食べられます。お湯が沸かせない状況においては、水での調理も可能です。
常温の水を使う場合、待ち時間は15〜30分程度が目安ですが、災害時にはそれでも手軽に食事を摂ることができます。賞味期限は一般的に6ヶ月〜1年ほどなので、定期的に買い替えておけば常に備蓄が整います。
さまざまな味があるため、災害時でも食事に変化を持たせやすく、精神的な負担も軽減できます。
お菓子
非常食として、忘れてはならないのが、普段食べ慣れているお菓子です。
災害時はストレスが溜まりやすく、甘いものやスナック類は気分を和らげる助けになります。とくに、保存期間が長く常温で保管できるビスケットやチョコレート、クラッカー、ドライフルーツなどは非常食として向いています。
これらはすぐに食べられるうえ、糖分や炭水化物を摂取できるため、エネルギー補給にも最適です。また、普段食べ慣れているお菓子を備蓄しておくことで、災害時でも安心感を得られ、食欲がなくなりがちな非常時でも助けになるでしょう。
関連記事:
スーパーで揃えるおすすめの非常食|選び方のポイントとローリングストックについて
非常食を選ぶポイント

非常食を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。災害時に備えて、適切な非常食を揃えておくことで、安心して過ごすことができます。ここでは、非常食を選ぶ際に押さえておくべきポイントについて紹介します。
ライフラインが止まっても食べられるか
災害時には、電気やガス、水道といったライフラインが使えなくなることがあります。
そのため、非常食を選ぶ際は、加熱や水を使わずにそのまま食べられるものを選ぶことが大切です。例えば、缶詰やレトルト食品、ビスケットなどは、調理不要でそのまま食べられ、長期保存も可能です。また、パック入りのおかゆやフリーズドライ食品なども便利です。
いざという時に備えて、準備しやすく、栄養も摂れる非常食を選んでおくことが重要です
おいしいと感じられるものか
非常食を選ぶ際には、おいしいと感じられるものを選ぶことが大切です。
災害時はストレスや不安が大きくなるため、普段食べ慣れているおいしい食事が、精神的な安定に役立ちます。
また、好きなものや食べやすいものが手元にあると、食欲も保ちやすく、必要なエネルギーを無理なく補給できます。
さらに、非常食はおいしいだけでなく、食事として成立していることも重要です。栄養バランスが取れていることや、必要なカロリーをしっかりと摂取できることが求められます。
非常食だからといって我慢せず、日常的に好む味を備えておくことで、非常時にも安心して食事を楽しむことができます。
栄養バランスはよいか
非常食を選ぶ際には、できる範囲で栄養バランスにも配慮することが大切です。
災害時は限られた食材での食生活が続くため、偏った食事を続けると栄養不足や体調不良を引き起こすリスクがあります。
とくに、ビタミンやミネラルが不足すると、免疫力の低下や疲労がたまりやすくなります。缶詰や乾燥野菜、バランスの取れたレトルト食品など、栄養面を考慮した非常食を用意しておくことで、非常時でも健康を維持しやすくなります
後始末を簡単に行えるか
非常食を選ぶ際には、後始末が簡単に行えるものを選ぶことも大切です。災害時には水や掃除道具が不足する可能性があるため、洗い物を減らすことも気にしておきたいポイントです。
例えば、缶詰やレトルト食品はそのまま食べられ、容器ごと捨てられるため、後片付けが非常に楽です。
また紙皿や使い捨てのカトラリーを用意しておくと、食器を洗う手間を省け、便利でしょう。
非常食はどのくらい用意すればよい?

非常食は最低でも3日分、できれば1週間分を用意することが、推奨されています。
参考までに、大人1人分の備蓄食料品の量の例を紹介します。
- 水:3L
- カップ麺:1個
- レトルト食品:2パック
- 缶詰:5缶
- パン:1食
- アルファ米:7パック
あくまでも目安ですので、日頃の食事の量を考えて調整するようにしましょう。
参考:特集1 非常食(2)|農林水産省
非常食の保管に関する注意点

非常食の賞味期限は長いものの、いつまでも保存できるわけではありません。そのため、いざという時に食べられない状況を避けるため、賞味期限の管理がとても大切です。定期的に備蓄品の賞味期限をチェックできればいいですが、忙しい毎日の中、いつ起こる変わらない災害のために欠かさず確認するのは難しいかもしれません。
非常食の賞味期限を管理する方法として、おすすめなのが「ローリングストック」という方法です。
これは、日常的に非常食を少しずつ消費し、新しいものを買い足して常にストックを更新していく方法です。
ローリングストックのメリットは、常に新しい非常食を備えておける点です。
日常的に消費しながら、古くなったものを新しいものと入れ替えるため、賞味期限切れのリスクを防ぐことができます。また、普段から非常食を食べ慣れておくことで、災害時でも違和感なく食事ができ、ストレス軽減にもつながります。
さらに、定期的に補充することで、備蓄の量や種類を把握しやすく、家族の好みや栄養バランスも考慮しやすくなります。
まとめ
非常食は、災害時の大切なライフラインを支える重要な備えです。自分や家族の好みに合ったものを選び、バランスよく準備しておくことで、非常時でも安心して過ごすことができます。
缶詰やレトルト食品、乾燥野菜やお菓子など、種類豊富な非常食を賢く備蓄し、いざという時に備えましょう。定期的に見直しや補充を行いながら、ローリングストックを活用すれば、常に新鮮で栄養豊富な非常食を維持することができます。