非常食はいつ起きるかわからない緊急時に備え、味はもちろん、賞味期限や栄養バランスなどを考慮しながら選ぶ必要があります。そのため、どのようなものを用意すればいいか迷う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、非常食の備蓄リストや実際に必要な量、非常食以外に必要なものを紹介します。家庭ごとに人数やニーズに合わせて、防災アイテムを整えましょう。
用意すべき非常食は最低3日分

災害時には食料や水の供給が途絶える可能性があり、また調理に必要な設備や道具が使用できなくなることも考えられます。非常食はこうした状況下でも食事ができるよう、工夫されています。
各家庭で非常食を備えておくことで、災害時のストレスを軽減し、自分や家族の健康を守ることができるでしょう。
農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、最低限3日分の備蓄を推奨していますが、特に広範囲で大きな影響が予想される南海トラフ巨大地震のような場合、1週間以上の備蓄が必要になることも考えられます。
災害が発生した際、公的支援物資の到着が遅れることや、コンビニやスーパーなどで商品がすぐに手に入らない可能性を考慮すると、家庭での非常食の備えが非常に重要です。
非常食の準備リスト【大人1人・3日分】

以下は、大人1人が3日間生活するのに必要な食品の一例です。あくまでも目安なので、普段1食に食べる量と比較しながら、準備しましょう。また高齢者や乳幼児などがいる家庭では、別途配慮しながら必要なものを確認してください。
非常食の種類 | 1食分目安 | 3日分の例 | |
主食 | 精米・無洗米 | 1食分(75g) | |
レトルトご飯・アルファ米 | 1パック | 7パック | |
パン(食パン) | 1食分 | 1食分 | |
もち | 2個 | ||
乾麺 | 100g | ||
即席麺・カップ麺 | 1個 | 1個 | |
乾パン | 1缶 | ||
シリアルなど | 50g | ||
主菜 | 肉・魚・豆の缶詰 | 1缶 | 5缶 |
レトルト食品 | 1パック | 2パック | |
豆腐 | 1食 | ||
乾物 | 適量 | ||
ロングライフ牛乳 |
上記を参考にしながら、主食と主菜を合わせて1人9食分用意できるよう、準備しましょう。
1週間分の非常食準備リスト
以下は、大人1人が1週間生活するのに必要な食品の一例です。非常食の種類 | 1食分目安 | 1週間分の例 | |
主食 | 精米・無洗米 | 1食分(75g) | 9食分 |
レトルトご飯・アルファ米 | 1パック | 7パック | |
パン(食パン) | 1食分 | 1食分 | |
もち | 2個 | ||
乾麺(うどん、そば、パスタ) | 100g | 200g(2食分) | |
即席麺・カップ麺 | 1個 | 1個 | |
乾パン | 1缶 | ||
シリアルなど | 50g | 50g(1食分) | |
主菜 | 肉・魚・豆の缶詰 | 1缶 | 11缶 |
レトルト食品 | 1パック | 7パック | |
豆腐 | 2食 | ||
乾物 | 適量 | ||
ロングライフ牛乳 | 1本 |
上記を参考にしながら、主食と主菜を合わせて1人21食分用意できるよう、準備しましょう。
1か月分の非常食準備リスト
以下は、大人1人が90食分(1日3食×30日)生活するのに必要な食品の一例です。非常食の種類 | 1ヶ月の必要量(目安) | |
主食 | 精米・無洗米 | 38食分 |
レトルトご飯・アルファ米 | 28パック | |
パン(食パン) | 6食分 | |
もち | 15~20個 | |
乾麺 | 8食分 | |
即席麺・カップ麺 | 4個 | |
乾パン | 4缶 | |
シリアルなど | 6食分 | |
主菜 | 肉・魚・豆の缶詰 | 44缶 |
レトルト食品 | 28パック | |
豆腐 | 8食 | |
乾物 | 適量 | |
ロングライフ牛乳 | 4本 |
上記を参考にしながら、主菜と副菜を合わせて1人90食分(1日3食×30日)を用意できるよう、準備しましょう。
非常食以外で用意するもの

カセットコンロ・カセットボンベは必須
災害時には水道やガスの供給が途絶える可能性があります。カセットコンロやカセットボンベで熱源を確保しておくと、食事の幅が広がりとても便利です。温かい食事は身体が温まるだけでなく、被災時の不安や緊張を和らげます。 農林水産省によるとカセットボンベは1人1週間あたり6本程度用意しておくことが理想です。非常時には調理の他に暖を取るためにも使用できるため、十分な量を備蓄しておくと安心です。
参考:農林水産省|家庭での災害用食品備蓄に活用ください
あると便利なもの
非常食以外にも以下のようなアイテムを揃えておくと、調理や食事の際に便利に活用できます。あると便利なもの | 活用法 |
食品用ポリ袋 | 手袋代わり、調理ボウル代わり、お皿や容器代わり、水の運搬 |
ラップ | 食材に触れずに調理、お皿に敷く |
アルミホイル | 熱いものをのせるお皿代わり |
クッキングシート | フライパンの焦げ防止(洗い物軽減) |
キッチンペーパー | 布巾やタオル代わり |
除菌スプレー | 手洗い用の水代わり、衛生確保 |
様々なシーンや状況を想像しながら、貴重な水を節約できるアイテムを考えましょう。
非常食を保管する際の注意点
非常食を保管する際は以下の点に気をつけましょう。 せっかく十分に非常食を用意しても、いざという時に使えなければ意味がありません。いつ起こるかわからない災害に備えるのは簡単ではありませんが、各家庭で日々意識して備えましょう。取り出しやすい場所に保管する
非常食などの備蓄品は「もしも」の時のための大切な備えです。 「普段使わないから」と、棚の奥など取り出しにくい場所に保管するのはあまり良くありません。 目につくところ、取り出しやすい場所に置くことでより安心ができます。賞味期限切れを防げる: 定期的にチェックし、期限が近いものは早めに消費できます。季節に合った備蓄: 夏には飲料水、冬には防寒具など、必要なものを揃えられます。備蓄品は「取り出しにくい場所に保管する」のではなく、「いつでも使えるように準備しておく」という意識が大切です。
賞味期限切れが起こらないように管理する
非常食は賞味期限が切れていないか、随時確認しておく必要があります。しかし、いつ起こるかわからない非常時のため食料の賞味期限をこまめにチェックするのは、容易ではないでしょう。そこでおすすめの管理方法が、ローリングストック法です。ローリングストック法とは、普段の生活で使用する食品を少し多めに購入し、使った分を補充して常に一定量のストックを保つ方法です。 日常的に食品を消費しながら備蓄を入れ替えるため、賞味期限切れを防ぎやすいのが特徴です。 さらに、普段から食べ慣れた食品を備蓄に取り入れることで、非常時にもストレスを軽減できます。普段の買い物時に少し多めに購入し、新しいものを後ろに古いものを前に置く「先入れ先出し」を意識するだけで、効率的に備蓄を整えることができます。
ローリングストックは、日頃から備えができる便利な方法ですが、長期化する災害時には注意点があります。保存のできない通常の食料品は食べられなくなってしまう可能性があります。
また ちょうど入れ替えのタイミングで災害が起こると、備蓄していた食品が役立たない可能性があります。 そのため、ローリングストックに加えて、非常食や保存食を別途備蓄しておくことで、より安心して備えることができるでしょう。