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ホーム > 防災コラム一覧 > 防災一考 > 火山噴火予知を考える [2014.10.1]

火山噴火予知を考える

防災コラム


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活火山の定義

「活火山」は“概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山”のことを言うのだという。

この定義から数えると、日本本土と周囲の海底などに 現時点で 110個の活火山 が存在することになるそうだ。
なお、この 日本の110火山 は今後の調査によって増える可能性があるので、あくまでも現時点の話である。

これは世界の火山の1割(約8%)が、陸地面積が世界の0.25%しかない日本列島に集中していることになる。
そして火山国の日本は当然に地震も多く、世界で起こっている地震のほぼ1割〜2割の地震が日本で発生している。

火山噴火災害の特徴

では、この活火山とされる《 1万年 》は恐ろしく長い期間に思うかというと、火山学の分野ではそうでもない。

死火山と思われていたチリのチャイテン火山は、2008年5月2日に9,400年ぶりに噴火したのだ。前回の噴火は紀元前7420年である。
また、2006年9月17日、アラスカでは、10,000年以上も氷河におおわれていたフォーピークト火山が突然噴火した。

このように火山は数千年以上の静穏期の後に突然噴火を再開することがあることを忘れてはならない。

さらに、恐ろしいことに、近年(最近200年)の噴火規模を示すVEIレベル5以上(最大はVEI8=破局的噴火)という大規模な火山噴火では、噴火した 15火山 のうち 11火山 が、1979年の御嶽山噴火と同じく 有史以来初めて となる火山噴火だったという。

1991年のフィリピン・ピナツボ火山(VEI6)、1982年のメキシコ・エルチチョン火山(VEI5)、1956年のカムチャッカ・ベズミアニー火山(VEI5)、近年最大規模の噴火災害とされる1815年のインドネシア・タンポラ火山(VEI7)などなどは史上初めての噴火だったのだ。
ちなみに300年前の富士山宝永噴火の規模をしめすVEIレベルでいうとVEI4となる。

幸いにも、火山国である日本では、ここ最近(200年間)で、これらの大きな噴火は一度も発生していない。
そのため、科学者にとっては、不幸にも、日本国内では有効な火山データが海外に比べて少ない、ともいえる。

これらを踏まえると、火山噴火という地球規模の活動は、《 1万年以内に噴火したものを活火山 》とする定義だけではもの足りない様にも思える。
地震と同じく、どこで噴火が起こっても不思議ではないような気もする(※素人見解です)。

さらに逆を言うと、火山噴火の頻度は(地震などに比べ)とても少なく、ほとんど何も分っていない、ともいえそうだ。

例えば、2000年に水蒸気爆発が頻発した三宅島噴火では、その後の泥流(噴石や流木を含んだ水深10cm〜50cmの泥流災害が発生)は、前例のない初めての災害だったというし、また、三宅島噴火時の「山頂陥没(頂上の直径約800mがほぼ円形状にストンと落っこちた)」も初体験だった。更に「高濃度の二酸化硫黄」が長期間噴出したことは世界記録に認定される世界初のできごとだった。

滅多に起らない噴火なので、一たび噴火すると、今まで確認されていなかった新しい発見・被害がでてくる、ということも火山噴火災害の特徴のようだ。

事前に 噴火警報(噴火予知)を出せるとは限らない



まとめると、火山噴火には、以下の特徴があげられる。

● 数百年程度の火山活動休止は当たり前

にもかかわらず

● 噴火再開前に十分な前兆現象の発生期間があるとは限らない
● しかも、噴火の前兆はごく微弱

という。

現在の科学的な段階では、大部分の火山で、噴火前になんらかの異常を捉えることには成功している、という段階だそうだ。

そのため、

●“短期的な時間・発生場所の予測は《十分な観測をしていれば可能》”

だろうと考えられている。
ただし、

●短期予知が可能なのは マグマ噴火 に限っており、今回の御嶽山のような 水蒸気爆発 の予知は困難

なのだそうだ。

また、

●中期・長期の噴火予知については、予測手法がまだ確立されておらず(ほとんど分っていない)、いまだに基礎的な観測研究の段階にある。

以上から“事前に 噴火警報(噴火予知)を出せるとは限らない”のだそうだ。

日本の活火山の半数以上は無監視に等しい状態

数百年、千年、万年という気の遠くなるほどの火山噴火、しかも、地震のように頻繁に発生するわけではなく、火山国の日本国内に限っても、ほとんど有効な火山噴火の過去のデータが得られていない状態に等しいという。
そのため、直接の被害が広範囲に及ぶ地震災害や津波、風水害などの防災対策に比べて、何千年に一度かもしれない火山の防災には予算がつきにくいようである。

とはいっても、運を天に任せて、何もしないわけにはいかない。

安全のために、できるだけ確度の高い予測をだせるように、どんな小さなことも見逃さないように日々、監視・観測をする体制が望ましいからだ。

そこで、学者からは、火山の近くに観測所を設けて監視観測を続けるような体制が必要、という提案がでている。
理想は1火山につき1観測所だ。
今回の御嶽山も24時間体制の監視は行われていたものの、すぐ近くに観測所はなかった。

2009年6月、気象庁の火山噴火予知連絡会は、“ 今後約100年の期間で噴火の可能性がある ” として110火山のうち、特に監視や観測の強化が必要な47火山を選定した。

この47火山は、気象庁・札幌・仙台・福岡市の各管区気象台にある火山監視・情報センターなどが24時間体制で監視し、変化が見られた場合、地元の都道府県へ火山性地震回数や防災上の警戒事項などを伝える仕組みである。

2014年9月30日の読売新聞記事によると、

《 47火山のうち30火山では、地元自治体などが火山防災協議会を設置し、火山の活動状況に応じて入山者らが取るべき行動を定めた「噴火警戒レベル」が導入されている。
しかし、近年に噴火を経験していない自治体では協議会が設けられておらず、17火山で警戒レベルが設定されていない 》、という。

《 気象庁は協議会設置を促しているが、火山対策は、進んでいない土砂災害・津波対策などに比べて、さらに遅れているのが現状だ 》、とある。

これが“日本の活火山の半数以上は無監視に等しい状態”と言われる所以なのだろうと思う。

予知に関してまとめると

●噴火予知は「できます」――ちゃんと十分な観測がされて短期予知ならば可能。ただしマグマ噴火に限る。水蒸気爆発は困難。

という火山予知連のスタンスは何年も前から変わっていないようである。

今回は不幸にも予知が困難な水蒸気爆発だった、ともいえるのかもしれない。

御嶽山噴火について

噴火警戒レベルが運用されている火山
さて、今回の御嶽山では、噴火規模は小さいものの日本火山史に特筆すべき噴火災害となった。

後からなら何とでもいえるが、個人的には、火山性地震の回数が増えた時点で、噴火警戒レベルを2程度に引き上げるか、何らかの積極的な注意喚起を気象庁と地元自治体はすべきだった、とも思う。
もし何らかの警戒情報が出されていたら、きっと犠牲者は数名程度にまで減っただろうと思うからだ。
ただ、過去のデータに照らすと、火山性微動の回数や規模は小さく、また、回数も日を追って減少していたようなので、その判断は、現状の制度上で難しかったのかもしれない。
他の山など、例えばまだ噴火していない富士山や箱根山でも、御嶽山で噴火前にみられた火山性微動などの現象が出ることは、そんなに珍しくないように思われるからだ。

空振りを怖れずに、ある特定の監視対象の火山に限り(例えば富士山だけ例外にするとか)、少しでも"異常"がみつかれば「警戒レベル1=平常」ではない「何か別の警告」をばんばん出すように制度が変われば違ってくるのだろうか・・・。

素人見解で申し訳ないが、現状の「警戒レベル1=平常」と「レベル2=火口周辺規制」の中間に、「 レベル1.5=おそらく何もないでしょうが、最近、小さな異常(微動)が発生しました。もしかすると何かあるかもしれない、と留意下さい。 」といった 警戒のグレーゾーン を新たに設けても良いのかもしれない。

そうしたほうが、気象庁も行政も、ちょっとした異常現象などの警戒情報を今よりも出しやすくなるのではなかろうか。

文責:平井P 初出:2014年10月1日


《FYI》
気象庁 > 各火山のリーフレットと現在の噴火警戒レベル

藤井敏嗣(噴火予知連会長)氏のレジュメ(2009年1月 日本・ニュージーランド火山防災フォーラム資料)

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